セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-B型肝炎

タイトル 消P-622:

最近5年の調査からみた当院におけるB型急性肝炎の動向

演者 和田 拓也(北里大東病院・消化器内科DELIMITER伊勢原協同病院・消化器内科)
共同演者 中澤 貴秀(北里大東病院・消化器内科), 高田 樹一(北里大東病院・消化器内科), 南野 勉(北里大東病院・消化器内科), 田中 賢明(北里大東病院・消化器内科), 奥脇 裕介(北里大東病院・消化器内科), 小野 弘二(伊勢原協同病院・消化器内科), 渡邊 真彰(北里大東病院・消化器内科), 日高 央(北里大東病院・消化器内科), 渋谷 明隆(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年、水平感染によるB型急性肝炎が増加傾向であり、genotype Aの増加とその慢性化が問題となっている。今回我々は当院の過去5年のB型急性肝炎症例を調査することにより相模原市(神奈川県県央部)でのB型急性肝炎の動向を解析した。【方法】2006年6月から2010年5月まで入院治療を行ったB型急性肝炎は12症例。これらについて感染経路、genotype、肝機能検査所見、劇症化・慢性化の有無、抗ウイルス薬治療、他の性行為感染症などの合併の有無につき検討した。【成績】診断時年齢は29.5歳 (19-75)、男性10例、女性2例であった。感染契機は性行為8例(67%、うち同性愛者2例)、輸血1例、不明3例であった。genotypeではAが7例(約60%)、Bが3例、Cが2例であり、入院時のIgM-HBcAb価中央値は29.3 S/CO(18.8-40.9)、HBeAg陽性例11例、HbeAb陽性3例でHBsAb陽性例は認めなかった。T-Bil、AST、ALTのpeak値、経過中最低PT値はそれぞれ10.5 mg/dl(0.9-23.3)、1129 IU/L (370-2522)、2292 IU/L (972-3793)、75.1 %(56-100)であった。抗ウイルス薬はSeroconversion後もHBV-DNA定量が陰性化しなかった1症例にエンテカビルが投与された。劇症化、慢性化した症例は認めなかった。合併感染症はChlamydia trachomatisおよびEntamoeba histolyticaが2例に認められたが、HIVとの合併症例は認めなかった。輸血により感染した19歳の男性症例は交通外傷による手術のため大量輸血が行われ、入院経過中に急性肝炎を発症しその後B型急性肝炎と診断された。この症例は各種調査でウィンドウ期に献血された血液製剤が原因ということが判明した。【結論】当院でも性行為による感染が増加しその6割がgenotype Aであった。近年genotype Aは増加しており、隣接する東京都町田市は歓楽街も有することからこれからもgenotype Aにおける慢性化を含めた動向について引き続き注意をはらう必要があると考えられた。
索引用語 B型急性肝炎, B型肝炎