セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓-B型肝炎 |
---|---|
タイトル | 消P-625:化学療法及び免疫抑制剤使用におけるHBV reactivationの検討 |
演者 | 大橋 理奈(済生会中津病院・消化器内科) |
共同演者 | 伊藤 大(済生会中津病院・消化器内科), 上田 綾(済生会中津病院・消化器内科), 生方 聡史(済生会中津病院・消化器内科), 仙田 花実(済生会中津病院・消化器内科), 江口 孝明(済生会中津病院・消化器内科), 山下 博司(済生会中津病院・消化器内科), 福知 工(済生会中津病院・消化器内科), 蘆田 潔(済生会中津病院・消化器内科) |
抄録 | 〔目的〕近年化学療法及び免疫抑制剤使用により、HBs抗原陰性、HBc抗体陽性またはHBs抗体陽性患者からのB型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化をきたす症例報告が多くなされています。その多くはリツキシマブ併用化学療法による症例ですが、今回我々はリツキシマブ以外を含む当科で経験したHBVの再活性化症例に関して検討した。 〔対象〕2008年12月から2011年1月までに当科に紹介となった、化学療法及び免疫抑制剤を使用された患者43名を対象とした。 〔結果〕HBs抗原陽性患者は6例、ocultB患者は3例で、化学療法及び免疫抑制剤使用前または同時にEntecavir(ETV)を開始し、肝炎の増悪なく経過。HBs抗原陰性でHBc抗体陽性またはHBs抗体陽性患者は34例で、化学療法または免疫抑制剤使用後にHBV-DNA陽性となった症例は6例(18%)認めた。 症例1:71歳男性。胃原発の非ホジキンリンパ腫。治療歴:R-CHOP療法やR-CHASE療法。症例2:66歳男性。原発性マクログロブリン血症。治療歴:MP療法やリツキサン+dexamethasone(DEXA)療法。症例3:82歳女性。多発性骨髄腫。治療歴:MP療法後PSL10mg隔日投与。症例4:61歳女性。多発性骨髄腫。治療歴:ベルゲード+DEXA併用療法。症例5:60歳男性。成人T細胞性白血病。治療歴:同種骨髄移植前の化学療養(vincrisrine,cyclophosphamide、PSL)。症例6:78歳女性。赤芽球ろう。治療歴:PSL+ciclosporin。HBVの再活性化までの期間は、治療後1年から2年がほとんどであった。HBVの再活性化した6例のうち1例(症例1)はHBV-DNAのモニターリングができておらず、肝機能障害出現後に当科紹介となり、ETVを開始したが劇症化をきたし救命できなかった。残りの5例(症例2,3,4,5,6)はHBV-DNA陽性となった時点でETVを開始。肝炎を発症せずに経過。 〔結論〕HBV reactivationの6例を経験した。HBV-DNAのモニターリングの重要性を再認識し、HBV-DNA陽性時にETVを内服させる事で肝炎の発症を予防する事ができると考えられた。 |
索引用語 | HBVの再活性化, 化学療法及び免疫抑制剤 |