セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-C型肝炎1

タイトル 消P-627:

C型慢性肝疾患に対するIFN natural alfa 少量長期在宅自己注射療法の有用性と問題点について

演者 野ツ俣 和夫(福井県済生会病院・内科)
共同演者 松田 尚登(福井県済生会病院・内科), 真田 拓(福井県済生会病院・内科), 新 浩一(福井県済生会病院・内科), 渡邊 弘之(福井県済生会病院・内科), 登谷 大修(福井県済生会病院・内科), 田中 延善(福井県済生会病院・内科), 須藤 嘉子(福井県済生会病院・検査部病理), 中沼 安二(金沢大・形態機能病理学)
抄録 【目的】C型慢性肝疾患(CHC)に対するIFN少量長期投与は、発癌予防に有用であり、在宅自己注射継続が勧められている。今回当院におけるIFN在宅自己注射施行CHC例を集積し、有用性と問題点につき検討した。【方法】2005年4月より当院にてIFN natural alfa(スミフェロンDS 300MU~600MU 週2~3回皮下注)自己注射を導入した103例のうち、6ヶ月以上投与継続した79例を対象とし、投与期間中のHCC累積発生率およびHCC発生リスク因子の検討を、Kaplain Meier法、Logrank検定およびCox比例ハザードによる多変量解析にて行った。またIFN自己注射導入後の注射継続状況および副作用を調査した。【成績】IFN導入より6ヶ月以上経過した100例中21例(21%)が、希望、倦怠感などで6ヶ月以内の短期に中止した。6ヶ月以上投与例79例の内訳は、男45例、女34例、年齢28~79歳(中央値66歳)、前IFN歴:有り65例、無し14例、F因子:F1 9例、F2 16例、F3 15例、F4 33例(F3,4 66%)であり、IFN自己注射投与期間は、6~56週(中央値26週)で、現在まで自己注射継続49例、途中中止30例(38.0%)であった。6例でHCCが発症し、HCC累積発生率は、1年 1.4%、2年 5.4%、3年 8.0%であった。HCC発生リスク因子は、LogRank検定では投与前AST≧100、ALT≧60、γGTP≧100、AFP≧20、IFN前治療歴無しであり、Cox回帰ではAFP≧20であった。自己注射中止30例中15例は、副作用により7~48ヶ月(中央12ヶ月)後に中止した。副作用の内容は、倦怠感など全身症状7例、血球減少1例、肝障害3例、筋障害1例、脳血管障害2例、1型DM発生1例であった。【結語】C型慢性肝疾患に対するIFN少量長期在宅自己注射の継続は、HCC発生抑制効果があると思われたが、投与前AFP高値例ではHCC発生リスクが高かった。また、IFN自己注射途中中止例が多く、投与中長期にわたり副作用が発生し、注意を要すると思われた。
索引用語 IFN在宅自己注射, C型慢性肝疾患