セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-C型肝炎1

タイトル 消P-631:

C型慢性肝炎患者におけるペグインターフェロンα-2b+リバビリン療法後の発癌

演者 西瀬 雄子(山形大・消化器内科)
共同演者 齋藤 貴史(山形大・消化器内科), 佐藤 智佳子(山形大・消化器内科), 石井 里佳(山形大・消化器内科), 芳賀 弘明(山形大・消化器内科), 奥本 和夫(山形大・消化器内科), 渡辺 久剛(山形大・消化器内科), 齋藤 孝治(山形大・消化器内科), 冨樫 整(山形大保健管理センター), 今井 康陽(市立池田病院・消化器内科), 河田 純男(山形大・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎患者に対するインターフェロン単独治療は患者の肝発癌リスクを低下させることが明らかになっている。難治例に対する現時点の標準治療であるペグインターフェロン+リバビリン併用療法においても同様の効果が指摘されているが、肝細胞癌(HCC)累積発生率に関する報告は十分でない。本研究では難治例における併用療法のHCC累積発生率を前向きコホート研究にて検討した。【方法】対象者は2003年1月に開始したペグインターフェロンα-2b+リバビリン併用療法に関する多施設共同研究の参加者のうち、HCV genotype 1b感染、高ウイルス量のC型慢性肝炎患者136名である(男性79人、女性57人、平均年齢57歳±8.8歳)。併用療法の治療期間は48週を基本とし、主治医の判断により72週まで延長可能とした。2011年1月まで追跡し、肝発癌の有無を調査した。Kaplan-Meier法にてHCC累積発生率を推定した。【成績】48週完遂例は111例(82%)でありSVRは57例(42%)であった。追跡期間中のHCC発生者数は8人(5.9%)であり(平均観察期間4.9±1.2年)、コホート全体のHCC累積発生率は、3年で3.0%、5年で6.5%であった。SVR群のHCC発生者は1例であり、3年および5年の累積発生率はともに1.8%、非SVR群のHCC発生者は7例であり、3年及び5年の累積発生率はそれぞれ3.9%、10.0%であった(P=0.08,SVR群 vs非SVR群)。インターフェロンのアドヒアランス80%以上の対象者では5年累積発生率は3.7%、80%未満では11.3%であり(P=0.24)、リバビリンのアドヒアランス80%以上の対象者では4.4%、80%未満では6.9%であった(P=0.71)。【結論】併用療法を実施したC型慢性肝炎患者においては、HCC累積発生率はインターフェロン未治療患者と比較して低い傾向であり、同様にSVR症例では非SVR症例に比較して低い傾向を示した。さらに長期追跡による発癌抑制効果の検討が必要である。
索引用語 インターフェロン治療, 肝発癌