セッション情報 一般演題

タイトル 75:

後腹膜原発のSchwannomaの一例

演者 鴫原 大樹(島根大学 医学部 付属病院 卒後臨床研修センター)
共同演者 三木 雅治(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 沖田 浩一(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 三島 優子(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 岡本 栄佑(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 三宅 達也(島根大学 医学部 光学医療診療部), 石村 典久(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 古田 賢司(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 佐藤 秀一(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 石原 俊治(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 天野 祐二(島根大学 医学部 光学医療診療部), 足立 経一(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科), 木下 芳一(島根大学 医学部 消化器内科・肝臓内科)
抄録 症例は53歳、女性。2004年頃より1年に2~3回程度の心窩部痛を自覚していたが、症状改善するため経過観察されていた。2006年7月16日に突然の冷汗を伴う間欠的な心窩部痛および背部痛を自覚したため近医救急外来を受診。対症的に治療されるも改善せず、7月19日当院当科外来紹介受診。腹部エコーにて膵体部尾背側十二指腸水平部頭側にφ30mm大の腫瘤性病変が認められたため、精査加療目的にて入院となる。入院後の腹部造影CT、腹部MRI、超音波内視鏡にて辺縁明瞭で内部不均一な嚢胞変性を伴う、どの臓器にも接していないφ30mm程度の腫瘍性病変が認められた。腫瘍マーカーはCEA 2.4,CA19-9 12, CA125 8, DUPAN<25, SPAN 7, NSE 8.6, s-IL2R 120と全て基準値内であった。また、Gaシンチでは同部位は描出されなかったため悪性リンパ腫は否定的と考えられた。腹部血管造影等を施行したところ同部位は、血流は乏しいものの後膵動脈を栄養血管とする病変であった。以上より診断を確定することは困難であったが、GISTまたは膵腫瘍が否定できず、また大きさ等を考慮し、8月25日後腹膜腫瘍摘出術施行。病理組織診断では、腫瘍は55×30×25mmの被膜に覆われた比較的境界明瞭な2房性の形態で組織学的にAntoni A型とAntoni B型の部分を見る核分裂像に乏しいSchwannomaと診断された。免疫染色にてS-100陽性、C-kitおよびCD34は陰性でSMA,EMA,caldesmonも陰性でGISTは否定的であった。術中に腫瘍の後腹膜側は、ganglionとの連続性が疑われたため、同神経節および近傍リンパ節も同時に摘出したが、いずれも悪性所見は認められなかった。今回我々は後腹膜原発のSchwannomaの一例を経験した。示唆に富む症例と考え、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 Schwannoma, 後腹膜原発