セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-C型肝炎2

タイトル 消P-633:

Chronic liver disease questionnaire(CLDQ)日本語版によるC型慢性肝疾患患者のQuality of Life(QOL)評価

演者 三浦 幸太郎(帝京大・内科)
共同演者 柿坂 仁(帝京大溝口病院・4内科), 安達 運(帝京大・内科), 中島 晶子(帝京大・内科), 三浦 亮(帝京大・内科), 深水 雅子(帝京大・内科), 三神 昌樹(帝京大・内科), 相磯 光彦(帝京大・内科), 高森 頼雪(帝京大・内科), 菊池 健太郎(帝京大溝口病院・4内科), 田中 篤(帝京大・内科), 滝川 一(帝京大・内科)
抄録 【目的】慢性肝疾患患者は様々な身体症状や心理的因子のためquality of life (QOL)が低下していることが多いが、QOLの客観的評価は容易ではない。英語圏では慢性肝疾患に限定した疾患特異的QOL評価尺度としてChronic liver disease questionnaires (CLDQ)(Gut 1999)がしばしば活用されており、タイや中国などアジア圏でもCLDQがそれぞれの言語に翻訳され、慢性肝疾患患者のQOL評価に用いられている。本研究でわれわれは、CLDQの日本語版を作成し、その妥当性を統計学的に検証するとともに、日本人C型慢性肝疾患患者のQOL評価を行った。【方法】外来通院中の85例のC型慢性肝疾患患者(男/女=34/51、平均年齢 67.0±10.4歳)を対象とした。肝疾患の進行度は、慢性肝炎、肝硬変ChildA、ChildB/Cそれぞれ58例、21例、6例であった。書面により本研究への参加の同意を得た後、日本語版CLDQ、および包括的健康関連QOL尺度であるSF-36、抑うつ・不安の評価尺度であるHADSの記入を依頼した。日本語版CLDQの作成はback-translation法を用いた。【成績】日本語版CLDQのクロンバックαはすべて0.80以上であり、内的整合性は保たれていた。SF-36およびHADSの結果とも有意に相関しており、日本語版CLDQの妥当性は十分と考えられた。CLDQのスコアは、慢性肝炎、肝硬変(Child A)、肝硬変(Child B/C)それぞれで4.16±1.13、3.69±0.85、3.28±1.07(P=0.056)であり、日本人C型慢性肝疾患患者では肝疾患の進行に伴いQOLが悪化する傾向がみられたが、全般的に身体的要素よりも感情的要素でスコアが悪化していた。。【結論】われわれが作成した日本語版CLDQの妥当性を統計学的に検証することができた。諸外国の報告同様、日本人C型慢性肝疾患患者でも肝硬変への進行に伴ってQOLが悪化しているが、日本人ではQOLが主に感情面で低下していると推測された。
索引用語 quality of life, C型肝炎