セッション情報 一般演題

タイトル E06:

内視鏡的に切除した直腸良性リンパ濾胞性ポリープの1例

演者 宮崎 慎一(鳥取生協病院 内科)
共同演者 野田 裕之(鳥取生協病院 内科), 森田 照美(鳥取生協病院 内科), 上萬 恵(鳥取生協病院 内科), 宮下 勝政(鳥取生協病院 内科), 鈴木 一則(鳥取生協病院 外科)
抄録 【はじめに】良性リンパ濾胞性ポリープ(benign lymphoid polyp : BLP)は粘膜下の正常なリンパ濾胞に由来するリンパ組織系増殖性疾患であるが、その成因は不明とされている。欧米では多数の症例報告をみるが、本邦での報告は比較的少ない。今回我々は、内視鏡的に切除し得た直腸BLPを1例経験したので、若干の考察を加え報告する。【症例】症例は62歳女性。バージャー病にて左下肢切断後、当院にてリハビリテーションを行っていた。腹痛および便潜血陽性の精査目的に当科紹介、上部消化管内視鏡検査は異常なし。下部消化管内視鏡検査にて直腸に3mm大の隆起性病変を認めた。超音波内視鏡検査(EUS)では第2層から第3層に主座を置く比較的境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた。第4層は保たれていた。骨盤CTでは直腸周囲のリンパ節腫大は認めなかった。カルチノイド、リンパ腫などを疑い、診断を兼ねて内視鏡的粘膜切除を行った。切除標本では、粘膜下層に腫大したリンパ濾胞の増生と非腫瘍性胚中心の拡大を認めた。構成する細胞にはmucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫でみられる胚中心細胞類似細胞や単核球様細胞などの特徴は認められなかった。また粘膜固有層内への形質細胞浸潤やリンパ上皮性病変の形成も認められなかった。切除断端は陰性であった。以上より、直腸BLPと診断した。【考察】近年、反応性過形成と考えられるBLPとMALTリンパ腫との異同が議論されるようになってきた。内視鏡およびEUSでは両者の鑑別は困難であり、病理組織学的な診断が必要となる。よって、本症を疑った場合にはEUSで内視鏡的に切除可能か否かを判断し、可能であれば完全切除した上で病理組織学的検討を行うことが重要であると考えられた。一方、BLPと診断したが、2年後に悪性リンパ腫と判明した症例の報告もあり、治療後も十分な経過観察が必要であると考えられた。
索引用語 良性リンパ濾胞性ポリープ, 直腸