セッション情報 一般演題

タイトル 70:

バリウムが原因となった虫垂炎の一例

演者 小畑 さやか(総合病院 岡山市立市民病院 内科)
共同演者 西村 守(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 辻 英之(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 安井 史明(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 岸田 雅之(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 渡部 祥子(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 難波 次郎(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 富山 吉久(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 東 俊宏(総合病院 岡山市立市民病院 内科), 山野 寿久(総合病院 岡山市立市民病院 外科), 吉岡 尚徳(総合病院 岡山市立市民病院 外科), 森 雅信(総合病院 岡山市立市民病院 外科)
抄録 症例は56歳、男性。腹痛を主訴に受診。既往歴として30年前に虫垂炎があるが、保存的に治療されている。平成18年9月4日より心窩部から右側腹部にかけての痛みを自覚していた。下痢、便秘などの症状はなく疼痛が持続し、過去の虫垂炎の痛みと類似していたため、9月5日当院受診された。腹部X-pおよび腹部CTにて虫垂内と思われる部位に炎症を伴う約1cm大の金属片様異物を認め、異物による炎症が腹痛の原因と考えられたため精査加療目的にて入院となった。入院後は一時腹痛が軽快し、下部消化管内視鏡にて異物除去できる可能性があったため、下部消化管内視鏡を施行。虫垂開口部は浮腫をきたしており、虫垂内の異物は確認できなかった。異物陥頓による虫垂の炎症が腹痛の原因であり、原因除去のためには外科的切除が適応と考え、急性虫垂炎として外科転科にて虫垂切除術を行った。切除した虫垂から固形化したバリウムが認められ、8月中旬に他院にて施行した上部消化管造影検査時のバリウム残渣によると考えられた。術後経過は良好にて退院となった。本症例を含めた文献的考察では、虫垂に嵌頓した異物には様々な報告があるが、バリウム遺残による虫垂炎も散見され、内視鏡的に除去した症例も報告されている。様々な異物の陥頓を原因とする急性虫垂炎では、虫垂切除術を施行している場合が多く、本症例においても内視鏡による観察と異物除去を試みたものの、虫垂が著しく腫脹しており無理に除去を試みることで穿孔する可能性があったため、外科的切除となった。今回、我々はバリウムによって急性虫垂炎の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて考察する。
索引用語 異物, 虫垂炎