セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-C型肝炎4

タイトル 消P-648:

HCV陽性肝細胞癌患者におけるB細胞中Epstein-Barrウイルス再活性化

演者 下間 祐(昭和大病院・消化器内科)
共同演者 伊藤 敬義(昭和大病院・消化器内科), 柳川 達郎(昭和大病院・消化器内科), 井口 桃子(昭和大病院・消化器内科), 打越 学(昭和大病院・消化器内科), 宮下 みゆき(昭和大病院・消化器内科), 荒井 潤(昭和大病院・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大病院・消化器内科)
抄録 【目的】HCV感染は慢性肝炎(CH)、肝硬変(LC)、肝細胞癌(HCC)の原因ウイルスである一方で多彩な肝外病変を惹起する。我々はこれまでHCVがB細胞に感染・吸着し、リンパ球増殖性疾患(LPD)関連マーカー異常に関連することを報告した。更に患者末梢血単核球(PBMC)、主にB細胞からEBV再活性化マーカーであるBZLF1 mRNA発現を23%に確認した。一方でHCV陽性肝癌組織からEBV DNA検出の報告もあり、EBVと肝発癌との関連が示唆される。今回我々はEBV再活性化と肝炎の病期進展、肝発癌との関連について解析した。【方法】HCV感染者111例[CH: 78例、LC:23例]を対象とした。111例中21例[CH:9例、LC:12例]はHCC合併を画像上確認した。全血10-30 mlからPBMCを採取し、一部の患者からはB細胞をauto MACSシステムで分離した。100ngあたりのTotal RNAからBZLF1 mRNAをRT-PCR法で検出した。更に年齢、性差、血小板数、ALT値、γGTP値、LPD関連マーカー[クリオグロブリン血症、リウマチ因子、低補体血症(C3、C4、CH50)]、HCV遺伝子型、血清HCV RNA量、IL28B SNPs(rs8099917)についてLC、HCCとの関連について解析した。【結果】単変量解析においてLC群はCH群と比較し有意にBZLF1陽性率が高値だった[CH vs LC: 16/86(18.6%) vs 11/23(47.8%), p=0.0039]。HCC群と非HCC群での解析でもHCC群でBZLF1陽性率が高かった[HCC vs 非HCC: 12/21(57.1%) vs 15/90(16.7%), p=0.0039]。その他の関連因子としてLCには高齢、血小板数低値、CH50低値が、HCCには高齢が関連した。多変量解析ではLCに関連する因子として高齢、HCCに対しては高齢とBZLF1陽性が独立因子となった。【結論】HCV陽性肝細胞癌とEBV再活性化の関連が示唆された。
索引用語 肝細胞癌, EBウイルス