セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-NASH/NAFLD1

タイトル 消P-650:

Gold-thioglucoseと高脂肪食を用いた新しいNASHモデル動物の開発

演者 小笠原 光成(高知大・消化器内科)
共同演者 小野 正文(高知大・消化器内科), 宗景 玄祐(高知大・消化器内科), 越智 経浩(高知大・消化器内科), 廣瀬 享(高知大・消化器内科), 藤村 靖子(高知大・消化器内科), 高橋 昌也(高知大・消化器内科), 岡本 宣人(高知大・消化器内科), 岩崎 信二(高知大・消化器内科), 西原 利治(高知大・消化器内科)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は今や重要な慢性肝疾患である。しかし、病態の解明や治療薬の開発については充分になされているとは言えないのが現状である。その理由の一つとして、肝組織および病態がNASH患者に類似で最適な動物モデルが存在しないことがあげられる。そこで今回我々は、新しいNASHモデルマウスの開発を行ったので報告する。 【方法】gold-thioglucose(GTG)はneuropeptideBおよびYのレセプターである視床下部摂食中枢のGPR7に障害を起こすことで過食を起こすことが知られている。4週齢雄C57BL/6マウスに対しGTGを投与するとともに高脂肪食(HF)にて12週間飼育し(GTG+HFマウス)、体重の変化、CTによる体脂肪量の測定、耐糖能検査および脂質代謝に関わる遺伝子評価および肝の組織学的検討を行った。 【成績】GTG+HFマウスは体重(60g)のみならず、内臓脂肪および皮下脂肪は他のコントロールマウスに比べ急激な増加を示し、高度のインスリン抵抗性を示した。さらに、肝における脂質代謝に重要なFAS, PPAR-γの発現増加を認めるとともに、アディポネクチン受容体1および2の発現が抑制されていた。さらに、血中アディポネクチンは抑制されていた。また、線維化マーカーの増加とTNF-α、8-OHdGの発現が亢進していた。肝の組織学的検討では、高度の脂肪肝に加え、肝線維化、Mallory-Denk体、肝細胞風船様腫大などNASH特有の肝組織像を呈した。  【結論】今回我々は、GTG投与にHF飼育の組み合わせによりNASH患者に類似のNASHモデル動物を作成することが出来た。多くの遺伝子改変モデルマウスのback strainとして汎用されているC57BL/6マウスに対してNASHモデルを意図的に作成できたことで、今後は関連遺伝子の検索を含む病態の解析とともに、治療薬の開発への研究が進むことが期待できる。
索引用語 NASH, 動物モデル