セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-NASH/NAFLD2

タイトル 消P-655:

糖尿病患者におけるALT値についての検討

演者 佐藤 智佳子(山形大・消化器内科)
共同演者 斎藤 貴史(山形大・消化器内科), 冨田 恭子(山形大・消化器内科), 石井 里佳(山形大・消化器内科), 芳賀 弘明(山形大・消化器内科), 奥本 和夫(山形大・消化器内科), 西瀬 雄子(山形大・消化器内科), 渡辺 久剛(山形大・消化器内科), 斉藤 孝治(山形大・消化器内科), 冨樫 整(山形大・消化器内科), 河田 純男(山形大・消化器内科)
抄録 【目的】糖尿病患者では、非アルコール性脂肪性肝疾患などの生活習慣病を合併することが多く、糖尿病患者の死因アンケート調査では肝疾患が多い。糖尿病患者における肝障害の実態を明らかにするため、当院の糖尿病外来通院患者におけるALT値、生活習慣などについて検討した。【方法】糖尿病外来に通院中で同意を得た160名の患者において、飲酒歴、治療内容について情報収集し、身長、体重、血液生化学検査、肝炎ウイルスマーカーを測定した。【成績】糖尿病外来におけるALT高値者(ALT 31 U/L以上)は23.1 %であり、男性は31.6 %、女性10.9 %と有意に男性が多かった(p < 0.01)。HBs抗原陽性率は0 %、HCV抗体陽性率は3.0 %であった。1日20 g以上の飲酒者は25.4 %であった。HBs抗原陽性者、HCV抗体陽性者、1日20 g以上の飲酒者を除いた96名で検討すると、その中のALT高値者は19.8 %で、男性31.1 %、女性9.8 %と有意に男性が多かった(p < 0.01)。また、ALT 31 U/L以上の群では、ALT 30 U/L以下の群に比べ、平均年齢が若く(60.9 ± 11.8 vs 67.9 ± 11.8 、p < 0.05 )、肥満者の頻度が有意に高かった(68.4 % vs 40.3 %、p < 0.05)。なお、両群のHbA1cには有意差なく、HbA1cとALTとの相関はみられなかった。男女に分けて検討すると、男性の肥満者の頻度は40 %、女性の肥満者の頻度は51 %であった。女性ではALT 31 U/L以上の群と、ALT 30 U/L以下の群で、肥満者の頻度に有意差は無かった。男性では年齢とBMIとの間に負の相関関係を認めた(r = - 0.51, p < 0.01)が、女性では関連を認めなかった。【結論】糖尿病患者におけるALT高値者は、23.1 %であった。飲酒者を除いても、女性より男性にALT高値者が多かった。また、男性では肥満とALT値に関連がみられたが、女性では明らかな関連はみられなかった。糖尿病患者におけるALT値は、性差や肥満の影響を受けていることが示唆された。
索引用語 糖尿病, ALT