セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-NASH/NAFLD2

タイトル 消P-656:

一般病院の2型糖尿病診療における脂肪性肝疾患診断の意義

演者 竹田 幸祐(奈良県立五條病院・消化器病センター)
共同演者 櫻井 伸也(奈良県立五條病院・消化器病センター), 森安 博人(奈良県立五條病院・消化器病センター), 高木 宏哲(奈良県立五條病院・消化器病センター), 西村 典久(奈良県立五條病院・消化器病センター), 津呂 公規(奈良県立五條病院・消化器病センター), 明石 陽介(奈良県立五條病院・消化器病センター), 中谷 吉宏(奈良県立五條病院・消化器病センター), 松本 昌美(奈良県立五條病院・消化器病センター)
抄録 【目的】糖尿病患者では健常者と比べて脂肪性肝疾患(FLD)の合併が多く認められる.生活習慣病に伴う代謝異常の指標として,また,近年肝硬変,肝癌への進展するNASHの危険群として臨床的に重要視されている.今回,1)FLD合併糖尿病患者の臨床像を明らかにする.2)NAFLD,NASH症例に対するpioglitazoneの治療効果につき検討する.【方法】1)当院外来で薬物療法中の2型糖尿病患者の内,平成20年11月から平成22年4月までの18ヵ月間に腹部超音波検査が行われた症例を,FLDの有無によりFLD群:55例,非FLD群:96例の2群に分けて背景因子,治療内容,血液検査成績について検討した.2)NAFLD,NASH合併糖尿病患者36例に対してpioglitazoneを投与し,投与前後の血液検査の比較により治療効果を検討した.【成績】1)FLD群,非FLD群の平均年齢,平均罹病期間は63.2歳と70.0歳,10.4年と14.8年で,BMIは26.5と23.2であった.インスリン治療の比率は非FLD群で多かった.血液検査上,HbA1cは平均6.9%,6.8%で,ALTはFLD群で高値であり,γ-GTPはFLD群で有意に高値であった.LDL-cは有意差なく,HDL-cは非FLDで有意に高値,TGはFLD群で有意に高値であった.2)NAFLD患者(うち4例は組織学的にNASHと診断)は平均年齢58.3歳で, BMI平均27.4で,HOMA-R平均4.8であった.治療6ヵ月後に ALTは平均37.4から25.5IU/lと低下した.1例については病理学的な改善も確認しえた. 【結論】1)糖尿病患者においてFLD合併の診断は代謝異常の病態を把握し,NASHを囲い込み肝硬変,肝癌への進展予防を図る上で臨床的意義は大きいと考えられた.3)pioglitazoneはNAFLD,NASH合併糖尿病患者の予後改善に寄与する可能性が示唆された.
索引用語 NAFLD, 糖尿病