共同演者 |
室久 俊光(獨協医大・消化器内科), 秋間 崇(獨協医大・消化器内科), 菅谷 武史(獨協医大・消化器内科), 草野 浩治(獨協医大・消化器内科), 橋本 敬(獨協医大・消化器内科), 小嶋 和夫(獨協医大・消化器内科), 飯島 誠(獨協医大・消化器内科), 平石 秀幸(獨協医大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】NAFLDがNASHとなり肝線維化が進展する機序としては, 肝細胞へのTG沈着がおこり(first hit), さらに肝細胞障害要因や遺伝的素因(second hit)などが加わり発症するとされるtwo-hit theoryが広く支持されている. 腸管から門脈への流入するエンドトキシンがsecond hitの原因の一つとして報告され, gut-derived endotoxinとNAFLDの関連について注目されている. Appendixは主にGALTの一つとして腸管免疫に関わる重要なリンパ組織であり, バクテリアなどの抗原の腸管内への侵入を防いでいるとされている. 慢性肝炎の中ではPSCとappendectomyとの関連が指摘されているが, NAFLDとappendectomyの関連についての報告は我々の知る限りでは過去になく, 今回我々はappendectomyとNAFLDの関連について検討することを目的とした. 【方法】1991年3月から2010年6月までの間に当科で施行された肝生検は1498例でNAFLDとなる対象は47例であった. 急性虫垂炎によるappendectomyの既往歴の有無により, 臨床像(年齢, 性別, BMI), 一般血液検査(AST, ALT, FBS, Alb, CHE, ZTT, T-cho, TG, 血小板数, PT), 生活習慣病合併の有無, 肝線維化進展の有無について検討をした.また肝脂肪化と線維化進展の関連が指摘されてないB型慢性肝炎(CHB)症例を対照として検討した. 同期間に当科で肝生検が施行された明らかな飲酒歴のないCHBとなる対象は67例であった. 【成績】appendectomyの既往はNAFLD全体で18例(36.2%), CHB全体で13例(19.4%)に認められ, CHBに対してNAFLDではappendectomyの既往歴は有意に多い結果であった(p<0.05). 線維化進展の有無について検討するとappendectomyの既往歴がmild fibrosis NAFLD(stage0-2)で11例(28.2%), advanced fibrosis NAFLD(stage3-4)で6例(75.0%)に認められ, 線維化進展例にappendectomyの既往歴が多い結果であった(p<0.05).【結論】appendectomyの既往はNAFLDの線維化進展の危険因子である可能性が示唆された. |