セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍1

タイトル 消P-661:

当科における進行肝細胞癌に対する治療成績

演者 佐藤 亘(秋田大・消化器内科)
共同演者 後藤 隆(秋田大・消化器内科), 大西 洋英(秋田大・消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌に対する治療はsorafenibの登場により大きく変化しているが、治療の選択枝は限られており、治療戦略に苦慮する症例も多いのが現状である。我々は当科における進行肝細胞癌の治療成績を評価し、報告する。【方法】2006年から2010年まで当科で治療した肝細胞癌(HCC)症例170症例のうち、stage 3以上でかつ経過観察可能であった87症例をTACEを中心とする局所治療群、動注化学療法群、sorafenib群に分類し、Kaplan-Meier法にて予後につき検討した。【成績】症例の内訳は局所治療群43例、動注化学療法群25例、sorafenib群10例であった。平均生存期間は局所治療群が17か月であり、動注化学療法群、sorafenib群(9.5か月、7.7か月)を有意に上回っていた。動注化学療法群、sorafenib群の生存期間に有意差は認めなかった。両群における治療効果を初回フォロー時のCTでmRESISTを用いて検討した。動注化学療法群は CR 2例、PR 2例、SD 8例、PD 13例であり、sorafenib群はCR 1例、PR 3例、SD 3例、PD 3例であり、PR、SD例はsorafenib群に多く、CR例は動注化学療法群に多く、なかでもFP療法を中心としたリザーバー動注化学療法に多かった。【考察】今回の検討では局所療法群において生存期間に有意差を認めたものの動注化学療法群とsorafenib群の生存期間に差は認めなかった。sorafenib群の平均観察期間が6.5か月と短いことが一因と考えた。個々の症例ではPR、SD例も多く長期観察例にSD例が多いことから進行肝細胞癌に対してsorafenibは有効な治療と考えた。動注化学療法群のCR、PR例は、脈管侵襲をともない、腫瘍個数の少ない症例であり、sorafenib不適症例や治療効果により手術や局所治療が望める症例に関しては積極的に動注化学療法も検討すべきと考えられた。【結語】進行肝細胞癌であっても局所治療は化学療法と比較して予後の延長が期待できるもと考えられた。sorafenibと動注化学療法は生存期間に有意差は認められなかったが、今後、動注化学療法やTACEとのsorafenibの併用が生存期間に寄与する可能性があるものと考えた。
索引用語 進行肝細胞癌, 治療