セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓-腫瘍1 |
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タイトル | 消P-663:肝機能不良かつ転移を有する肝細胞癌症例の治療に関する検討 |
演者 | 手島 一陽(東芝病院・消化器内科) |
共同演者 | 金原 猛(東芝病院・消化器内科), 井上 陽介(東芝病院・消化器内科), 三好 由里子(東芝病院・消化器内科), 中込 良(東芝病院・消化器内科), 田上 大祐(東芝病院・消化器内科), 田代 淳(東芝病院・消化器内科), 松原 康朗(東芝病院・消化器内科), 三輪 純(東芝病院・消化器内科), 新井 雅裕(東芝病院・消化器内科) |
抄録 | 【背景】現在提唱されている日本肝臓学会のコンセンサスに基づく肝細胞癌治療アルゴリズム2010において、肝外転移を有しChild-Pugh B/Cと肝機能が不良な肝癌症例では、緩和治療が基本とされている。実際には、個々の症例に応じ積極的治療が試みられているが、survival benefitに関するエビデンスは未だ報告されていない。【目的】当院で診断・治療された肝外転移を有する肝癌症例を総括し、特に肝機能不良例に対する治療の有用性について検討した。【方法】1997年以降当院で肝癌の初発診断がされ、経過中に肺または骨転移診断のされた肝癌症例33例について、転移診断後治療の有無及び肝機能別に生存期間を検討した。次に、転移診断時Child-Pugh 8点以上の17例で、選択された治療と直接死因、治療の有無による生存期間の差異を検討した。【結果】33例の転移診断後生存期間中央値(IQR)は105(28-225)日、治療群151(89-354)日、未治療群23(20-98)日であった(Logrank検定、P<0.01)。肝機能別の転移診断後生存期間はChild-Pugh 7点以下16例で141(89-302)日、8点以上17例で53(23-175)日であった(P=0.167)。肝機能不良例でも肝内癌関連死は主要な直接死因で、8例で肝内病変に対する治療が施行されていた。肝機能不良例での治療群の生存期間145(49-256)日と、未治療群23(21-60)日に有意差を認めた(P=0.02)。選択された治療はTACE 6例(CDDP使用2例)、HAIC 2例(CDDP単回動注1例、low-dose FP 1例)であった。更に、転移巣別に見ると、肺転移群では治療による有意な生存期間延長を認めたが(P=0.04)、骨転移群では認めず(P=0.22)、CDDP-TACEを施行した1例で肺転移巣消失が認められていた。【結論】肝機能不良かつ肝外転移を有する肝癌症例においても、肝内病変に対する治療は有用と考えられた。ただし、肝内治療による生存期間延長効果が、転移巣の違いにより異なる可能性が示唆され、肝機能不良有転移症例での更なる検討が必要と考えられた。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 肝外転移 |