セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍2

タイトル 消P-667:

LeVeen needleを用いたより安全なラジオ波焼灼療法―肝内圧、バブルと剥離肝細胞の関係―

演者 川本 智章(日本医大・肝臓内科)
共同演者 山内 篤(埼玉よりい病院), 宮元 亮子(日本医大・肝臓内科), 金子 恵子(日本医大・肝臓内科), 清水 秀治(日本医大・肝臓内科), 間中 研一(獨協医大国際教育研究施設・研究支援センター)
抄録 【目的】肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)では稀に特異な再発や散布をきたすことがある。我々はその一因として、腫瘍内圧上昇に着目してきた。RFA施行中には、エコーで点状高エコーが流出するのが観察される。その本体は肝内圧上昇に伴って発生したバブルと考えられる。そこで、血管内視鏡を用いてその観察を行うと共に、肝内圧測定を行った。またRFAに伴い肝細胞の血管への流出があり得るのか否か検討した。【方法】平均体重63kgの豚10頭を用い、頚静脈に4Frのカテーテルを挿入し肝静脈へ誘導しRFA施行と同時に血液の採取を行った。RFAはLeVeen needleもしくはcool-tipを用い、カテーテルの近傍に電極を挿入して行った。LeVeen needleは標準焼灼法で行った。cool-tipは40Wで開始し、1分ごとに10Wずつ上昇させ焼灼した。肝内圧は観血血圧モニターを用いて測定した。肝細胞の捕捉はRFA中にカテーテルから血液を採取し、Ficoll密度勾配分離法によって分離濃縮し、15時間培養を行った後、抗ブタアルブミン抗体免疫染色を行った。なお、バブルの観察は肝静脈内に血管内視鏡を挿入して行った。また、出力を30Wに固定したLeVeen needle, multi-step法で肝内圧の測定を行った。【成績】エコーで点状高エコーが見られると同時に血管内視鏡でバブルの流出が見られ、肝内圧はLeVeen needleで154.5mmHg、cool-tipで114.5mmHgまで上昇した。また、採取した血液を培養した培養皿内に、壁着し生存する細胞が見られ、免疫染色でこれらがアルブミン陽性細胞を含む細胞塊であることが証明された。なお、multi-step法での肝内圧は24.1mmHgに抑えることが可能であった。【結論】RFA中のバブルの流出と共に、肝内圧は上昇し生肝細胞が流出してくることが示されたことより、肝細胞癌播種の危険性が皆無ではないと考えられた。肝内圧上昇を抑えることが可能なmulti-step法はより安全な治療であると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, ラジオ波焼灼療法