セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍3

タイトル 消P-671:

進行性肝癌におけるsoluble IL-2 receptor(SolIL2R)の予後因子としての妥当性に関する検討

演者 杉本 理恵(国立九州がんセンター・消化器内科)
共同演者 奥村 幸彦(国立九州がんセンター・消化器内科), 藤山 隆(国立九州がんセンター・消化器内科), 久野 晃聖(国立九州がんセンター・消化器内科), 古川 正幸(国立九州がんセンター・消化器内科), 船越 顕博(国立九州がんセンター・消化器内科DELIMITER福岡山王病院・消化器内科)
抄録 (目的) 肝細胞癌の予後因子としてCLIPスコアがよく知られているが、これは腫瘍側因子と肝予備能とを組み合わせた指標であり、腫瘍の悪性度を十分反映したものとは言えない。これまで我々はSolIl2RがStageIV期肝癌で上昇する傾向が有る事、SolIL2R高度高値の肝癌において低分化かつリンパ管浸潤傾向が非常に強い予後不良症例がある事を報告し、肝癌が周囲リンパ球にSolIL2Rを分泌させていること、SolIL2R値を肝癌予後予測に用いうる可能性があることを報告した。今回、SolIL2Rの進行肝癌における予後予測因子としての有用性について検討した。(方法)2007年8月~2010年12月に九州がんセンターに入院したStage IV期の肝細胞癌患者50例を対象とした。クロスバリデーションと最小P値法に基づいてSolIL2Rのカットオフ値を定め、SolIL2R高低と全生存期間との相関をCoxモデルによる多変量解析で検討した。(成績) 年齢中央値66歳、Stage IVa/IVb:20/30例、CLIPスコア 0-3/4-6:18/32例,全生存期間中央値8.1ヶ月(95%信頼区間(CI), 5.7-13.9ヶ月)であった。多変量解析の結果、SolIL2R(高 vs. 低)のハザード比4.08(95% CI, 1.91-8.73; P<0.001)、CLIPスコア(3以上 vs. 3未満)のハザード比2.83(95% CI, 1.22-6.59; P=0.016)と推定された。(結論)進行性肝癌においては肝予備能と共に、癌そのものの悪性度が予後を大きく左右すると考えられる。今回、SolIL2RはCLIPスコアとは独立した,かつCLIPスコアよりも強く予後に相関する因子である可能性が示された.SolIL2R高値である事が予後と関連している理由としては過剰に放出された SolIL2Rが腫瘍免疫の IL2シグナルをブロックしている可能性が考えられる。
索引用語 予後予測因子, SolIL2R