セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍3

タイトル 消P-672:

肝細胞癌治療前後のAFP、PIVKA-II測定と治療効果判定としての意義

演者 七島 篤志(長崎大大学院・腫瘍外科学)
共同演者 田浦 直太(長崎大・消化器内科), 阿保 貴章(長崎大大学院・腫瘍外科学), 市川 辰樹(長崎大・消化器内科), 宮明 寿光(長崎大・消化器内科), 永安 武(長崎大大学院・腫瘍外科学), 中尾 一彦(長崎大・消化器内科)
抄録 【目的】2009年版肝癌診療ガイドラインでは治療前腫瘍マーカーの治療指標としての測定の推奨度はグレードC1である。諸家の報告では治療前腫瘍マーカー上昇は予後に大きく関連し治療選択適応にも提言されている。今回各種肝癌治療におけるAFPとPIVKA-II値の変動と予後の関連を解析した。【方法】614例の手術、凝固療法、TACEほか各種治療を受けた肝癌患者における治療前AFP、PIVKA-II値と236例における治療後1カ月以降の変動を測定し無再発・全生存について解析した。腫瘍マーカー変動を、治療前後とも正常値群(L)、治療後正常化した群(N)、減少するも正常化しない群(D)および不変・増加群(U)に分けた。【結果】治療前AFPまたはPIVKA-II高値は無再発・全生存ともに正常群に比べ有意に予後不良であり、特に切除や穿刺凝固症例で顕著だった。変動をみた236例では、D・U群で多発、腫瘍径大、進行例が有意に多かったが、再発率では有意差を認めなかった(p=0.07)。無再発生存ではAFP-L群が予後の良い傾向にあったが(p=0.07)、PIVKA-IIで差はなく治療法別にも有意差はなかった。全生存では、AFP-L群は(5生82%)他群よりも(51%、65%、38%)予後良好で、またPIVKA-II L・N群は(88%、62%)他群よりも(26%、6%)良好であった。切除症例ではAFP-L群は(5生81%)他群よりも(51%、23%、0%)予後良好で、PIVKA-II L・N群は(100%、63%)他群より(28%、31%)有意に良好であった。穿刺凝固治療ではAFP-N・L群は(5生率86%、91%)と他群よりも(40%、0%)良好な傾向にあったが(p=0.08)、PIVKA-IIの変動では差がなく他の治療でも関連はなかった。多変量解析で無再発生存に関わる因子は硬変肝、術前AFPとPIVKA-II値で、全生存ではstage IV、Child BCとPIVKA-II D・U群が不良な予後因子であった。【結論】AFPやPIVKA-IIの治療前値の上昇がない症例や治療後の正常化は予後良好であり、治療効果判定の因子として有用と考えた。
索引用語 肝細胞癌, 腫瘍マーカー