抄録 |
【目的】近年発癌高危険群でなく医療機関を定期的に受診していないNBNC-HCCが散見され健診での画像検査が重要となっている.今回当科に入院した初発HCC患者において適切なサーベイランス間隔を検討した.【方法・対象】対象は2008年1月~2010年12月までに治療目的に入院した初発HCC患者171例.HCC発見までの画像検査によるサーベイランス期間を3ヶ月毎に群別しそれぞれの最大腫瘍径,HCC stage,生存期間について検討した.また原因肝疾患をA群:発癌超高危険群(B,C型肝硬変)とB群:それ以外に分け同様に検討した.【結果】平均年齢68.6歳,男118,女53人,背景肝はC型肝硬変107,B型肝硬変12,他53例(31%)であった.初発時の腫瘍径(mm)と腫瘍径20mm以内の割合(%)はサーベイランス間隔-3か月16.1±5.1,83.4,4-6か月17.7±11.2,76.3,7-9か月19.8±6.8,54.5,10-12か月30.3±19.5,37.5,12-24カ月28±17.1,50,サーベイランスなし29.5±17.0,67.0 でサーベイランス期間が長くなるに伴い腫瘍径が大きく,20mm超の割合が増加した.HCCStage(III+IV/n,%) は-3か月14.7,4-6か月10.8,7-9か月28.6,10-12か月50.0,12-24カ月50.0,サーベイランスなし38.9でありサーベイランス期間が6カ月を超えると進行したステージで発見される割合が増加した.6カ月と12カ月以内のサーベイランス群との間には腫瘍径,HCC Stageともに有意差を認めた(P<0.001).また原因肝疾患別の検討では初発時の腫瘍径(mm)と腫瘍径20mm以内の割合(%)はA群20.9±16.4,64.7, B群28.9±17.2,38.5で有意差を認め(P<0.01),サーベイランス期間はB群の方が有意に長かった(6か月以上35.8対63.8%,P=0.001).多変量解析で生存期間に関与する因子を検討すると6カ月以内のサーベイランスが独立危険因子として抽出された(P<0.05).【結論】発癌超高危険群以外からの発癌は31%に及び健診での画像検査が重要である.12か月毎の健診では腫瘍は大きく発見され生命予後も悪くなる.6か月に一度の健診が本来は望まれる. |