セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍4

タイトル 消P-678:

肝動脈化学塞栓療法における脂溶性白金錯体の使用経験

演者 益岡 晋也(日本大・消化器肝臓内科)
共同演者 馬嶋 恒博(日本大・消化器肝臓内科), 荒川 泰雄(日本大・消化器肝臓内科), 樋口 晃久(日本大・消化器肝臓内科), 中村 仁美(日本大・消化器肝臓内科), 林 順平(日本大・消化器肝臓内科), 楡井 和重(日本大・消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科)
抄録 【目的】Cisplatinの誘導体である脂溶性白金錯体(ミリプラチン)は、肝細胞癌(HCC)に対する抗悪性腫瘍剤として登場し一年余りが経過した。ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル(LPD)との懸濁物が腫瘍局所に分布され白金成分の持続的放出により抗腫瘍効果を高め、全身性の副作用を軽減することが期待されるが、発熱やCRPの上昇、好酸球の増多などの副反応が問題となっている。以前我々は有害事象と治療効果により報告したが、症例を重ねたため追加検討した。【方法】2010年3月から2010年12月までミリプラチンを使用したHCC症例30例。HBV6例、HCV18例、NBNC6例で、Child Aが20例、Child Bが10例。HCC因子は全てStage3(肝内シャントや門脈塞栓・静脈内腫瘍栓を有するものは除外)。添付文書通りにミリプラチンとLPDを混入し、30例中12例に多孔性ゼラチン粒(粒径2mm規格)を併用した。有害事象は、日本癌治療学会薬物有害反応判定基準に従い発熱と嘔気、血算・好酸球・PT活性・AST・LDH・TB・CRPをグレード分類し検討した。抗腫瘍効果はCTによりLPDの停滞率で検証した。【成績】有害事象は、グレード4のAST・CRP上昇例各々2例、グレード3の発熱が2症例であった。前回報告したときと同じく、塞栓物質併用の有無と症状には関連性はなくミリプラチンの投与量と関連性が示唆された。有害事象の発現率(%)は、嘔気12、白血球減少30、好酸球増加67、Hb減少25、血小板減少25、PT活性減少70、LDH増加50、TB増加45で、AST増加・CRP増加・発熱は少なからず全例に認められた。データーは退院時には改善し、発熱は従来の抗悪性腫瘍剤と比較しやや遅れて発現する傾向にあり、グレード2以上の発熱11例に対しステロイド少量投与したところ全例改善を認めた。【結論】ミリプラチンによる肝動脈化学塞栓療法は発熱含め有害事象のコントロールも可能であった。多孔性ゼラチン粒併用治療も安全に治療でき、治療効果は良好であった。
索引用語 肝細胞癌, 肝動脈化学塞栓療法