セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍4

タイトル 消P-682:

TACE不応の進行肝細胞がんに対して, 5-FU使用の肝動注化学療法は有効か?

演者 桐越 博之(横浜市立大・消化器内科)
共同演者 米田 正人(横浜市立大・消化器内科), 馬渡 弘典(横浜市立大・消化器内科), 藤田 浩司(横浜市立大・消化器内科), 今城 健人(横浜市立大・消化器内科), 加藤 真吾(横浜市立大・消化器内科), 鈴木 香峰理(横浜市立大・消化器内科), 前田 愼(横浜市立大・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大・消化器内科), 斉藤 聡(横浜市立大・消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞がん (HCC) に対する治療, 特にTACE不応例に対する標準治療は未だ確立していない. 今回我々はTACE不応の進行HCCに対する5-FU使用肝動注化学療法 (HAIC) についてretrospectiveに検討した. 【方法】2011年1月31日までに, 当院当科で5-FU使用HAICを施行し経過観察可能であった進行HCC症例42例を対象とした. TACE不応の定義は日本肝臓学会編 肝癌診療マニュアル第2版 (医学書院 2010年) に準拠し, 適合する症例をTACE不応群 (19例), 適合しない症例を初回群 (23例) と2群に分け, 各種解析を行った. ただし遠隔転移を有する症例は除外した. 症例全体の内訳は男性:35, 女性:7, 平均年齢:66.0歳, HCV:24, HBV:8, nonBnonC:5, alcohol:4, HCV+HBV:1, Child-Pugh A:18, B:23, C:1, 肝障害度A:16, B:11, C:5, 脈管浸潤無し:19, あり:23, 臨床病期III:24, IVA:18, JIS2:8, JIS3:25, JIS4:9であった. 原則的にGDAコイル法でリザーバーを留置し5-FU使用HAICを施行した. レジメンの内訳はPEG-IFNα2b併用:19例, Natural-IFNα併用:8例, low dose FP:15例であった.【結果】HAIC治療効果:初回群/不応群=CR 2/0, PR 9/3, SD 9/7, PD 3/9で奏功率:初回群/不応群=48%/16% (p=0.028), 腫瘍制御率:初回群/不応群=87%/53% (p=0.014) と初回群で有意に良好であった. さらに無増悪生存率:初回群/不応群=3ヶ月83%/68%, 6ヶ月70%/46%, 1年29%/17%, 2年20%/0% (p=0.064) と初回群で良好な傾向があり, 平均無増悪生存期間においては初回群/不応群=9.8ヶ月/6.2ヶ月 (p=0.040) と初回群で有意に良好であった. 生存期間に関与する因子を多変量解析 (Cox比例ハザード分析) した結果, TACE不応 (p=0.007) は独立した予後規定因子の一つとして抽出された.【結論】今回の検討では, TACE不応例に対しての5-FU使用HAICは効果不良であり, 分子標的治療薬など他治療を考慮する方が良いと考えられた.
索引用語 肝細胞癌, TACE不応