セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍6

タイトル 消P-692:

肝動脈化学塞栓療法(TACE)におけるミリプラチン・リピオドール懸濁液とシスプラチン・リピオドール懸濁液の安全性及び治療効果の比較検討

演者 岡部 和利(NTT西日本九州病院・外科)
共同演者 別府 透(熊本大大学院・消化器外科学), 原岡 克樹(NTT西日本九州病院・肝臓・消化器内科), 大内田 義博(NTT西日本九州病院・肝臓・消化器内科), 富安 真二朗(NTT西日本九州病院・外科), 佐野 收(NTT西日本九州病院・外科), 山中 剛(NTT西日本九州病院・外科), 藤山 重俊(NTT西日本九州病院・肝臓・消化器内科), 馬場 秀夫(熊本大大学院・消化器外科学)
抄録 【目的】切除不能肝細胞癌(HCC)に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)において当科ではシスプラチン・リピオドール懸濁液を中心薬剤としてきたが、昨年リピオドールとの併用において保険承認を取得したミリプラチンが市販開始された為その安全性や治療効果について比較検討を行った。【方法】2010年1月から8月までにミリプラチンによるTACEを施行した115例(Miripla群)を対象とし、2007年1月より同時期までにシスプラチンを使用した131例(CDDP群)と比較検討した。【成績】1.患者背景ではnonBnonCの割合と治療時のリピオドール量がMiripla群で多かったが性別、年齢、腫瘍数、最大腫瘍径、肝予備能、塞栓時のゼラチンスポンジ量は有意差がなかった。2.CTCAE ver.4.0に基づく有害事象の発現頻度はGrade1以上の全ての症状、悪心、疲労、食欲不振においてCDDP群68%,22%,19%,20%に対してMiripla群47%,7%,10%,5%と有意に低値であった。3.血液生化学検査値の推移では血小板減少とALT上昇がMiripla群で有意に軽微であり、好酸球増加はMiripla群で顕著であった。4.術後1ヶ月のCTで判定した肝癌治療直接効果判定基準に基づく標的結節の治療効果度はTE4がCDDP群43%に対しMiripla群47%と有意差はなかった。5.腫瘍マーカー陽性例において術後1週で術前の50%以下に低下した症例の割合はAFPでCDDP群が有意に多かったがPIVKA-IIでは有意差はなかった。6. TE4と判定された標的結節の累積局所再発率はCDDP群において有意に低かった。【結論】ミリプラチンは有害事象の発現が軽微であり反復治療を要するTACEにおいて有用であるが、治療効果や適切な症例選択において不透明な部分が残る。今後はミリプラチンの著効例の検討を通して最適な使用方法を確立する必要がある。
索引用語 肝動脈化学塞栓療法, ミリプラチン