セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍6

タイトル 消P-694:

肝細胞癌に対するアイエーコール・リピオドール混合液とミリプラチンの肝動注化学療法による有効性の比較

演者 魚住 祥二郎(昭和大・消化器内科)
共同演者 馬場 俊之(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌に対する治療法は確立していないが,一般に肝動注化学療法(TAI)が行なわれている.これまで我々はアイエーコール・リピオドールの混合液によるTAIを行なってきたが,近年リピオドールと親和性が高いミリプラチンによるTAIを行なっている.今回アイエーコール・リピオドールの混合液によるTAIとミリプラチンによるTAIの有効性,安全性を比較検討した.【方法】当科にて肝細胞癌に対し,2007年8月から2010年4月までにアイエーコール・リピオドール混合液のTAIを行なった22例(IA call/LPD群)と,2010年5月から2010年12月までにミリプラチンのTAIを行なった19例(M群)を対象とした.年齢(中央値)はIA call/LPD群68(58-78)歳,M群67(53-88)歳,肝細胞癌の進行度はIA call/LPD群ではstage1:0例,stage2:7例,stage3:13例,stage4:2例,M群ではstage1:0例,stage2:1例,stage3:14例,stage4:4例,Child-Pugh 分類はIA call/LPD群ではChild A:8例,Child B:14例,M群ではChild A:10例、Child B:9例であり,M群では有意に肝細胞癌が進行している症例が多かった(p=0.0222).治療効果は治療後1ヶ月以降の造影CTから標的結節治療効果度(TE)にて評価した.また、アルブミン値,ビリルビン値,プロトロンビン時間,血小板数を治療前,治療後1週間後,治療後1ヶ月後に比較した.有害事象は共通用語基準ver4.0に基づいて評価した.【成績】治療効果はIA call/LPD群ではTE1:6例,TE2:11例,TE3:2例,TE4:3例であり, M群ではTE1:11例,TE2:5例,TE3:3例,TE4:0例,TE3以上はIA call/LPD群では5例(23%),M群では3例(16%)であり,有意差は認められなかった(p=0.581).両群ともに血液検査は治療前後において有意な増悪は認めず,重篤な副作用も認めなかった.【結論】M群では進行した肝細胞癌が多かったが,IA call/LPD群とM群で治療効果は同等であった.重篤な副作用も認められず,肝細胞癌に対する治療として有用である.
索引用語 ミリプラチン, 肝細胞癌