セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍7

タイトル 消P-695:

当科でのソラフェニブ使用経験

演者 前田 裕巳(兵庫県立がんセンター)
共同演者 富永 正寛(兵庫県立がんセンター), 中山 俊二(兵庫県立がんセンター), 金治 新悟(兵庫県立がんセンター), 仁和 浩貴(兵庫県立がんセンター), 押切 太郎(兵庫県立がんセンター), 小南 裕明(兵庫県立がんセンター), 千堂 宏義(兵庫県立がんセンター), 川崎 健太郎(兵庫県立がんセンター), 田中 賢一(兵庫県立がんセンター), 藤野 泰宏(兵庫県立がんセンター)
抄録 (目的)最近全国的にソラフェニブが切除不能肝癌に対し使用されるようになったが,副作用軽減のため400mg/日で開始することも多い.当科で800mg/400mgにて投与を開始した症例について,効果,副作用を調査した.(方法)2011年3月31日までに当科でソラフェニブを開始した29例につき,肝障害度,副作用,効果等を開始量(800mg/400mg)別に調査した.内訳は800mg群:9例(男/女9/0,平均年齢65.5歳, HB/HC/NBNC:2/2/5),400mg群:20例(男/女18/2,平均年齢71.1歳, HB/HC/NBNC:4/10/6)であった.(成績)開始理由は, 800mg群:肝外病変の出現/TACE不応/TACE間投与=4/4/1, 400mg群:肝外病変の出現/TACE不応/TACE間投与=4/5/10で,VP3症例にも1例投与した.肝障害度はChild A/Bが800mg群:5/4例,400mg群:19/1例で,400mg群は比較的早期に投与されたものが多かった.800mg群では副作用による中止/中断が66.7%と多く,90日未満での中止も55.6%であった.400mg群では副作用による中止/中断は45%であったが,4例で再投与可能で,比較的スムーズに投与が継続できた.800mg群での中止理由は肝機能悪化2,発熱1,病状進行5であったが,400mg群では肝機能悪化2,食欲不振1,消化管出血1,無効1,病状進行2であった.800mg群/400mg群での副作用は手足症候群5/10例,血圧上昇5/7例,下痢2/9例,肝機能悪化4/6例で,400mg群では血圧上昇,肝機能悪化がやや少なかった.ソラフェニブが関与した死亡は2例で,いずれも800mg群,Child B症例であった.Child B 5症例の投与継続期間は109日の1例を除いて全例40日以下であった.治療効果は800mg群:CR/SD/PD=1/1/6,400mg群:PR/SD/PD=1/5/8であった.(結論)400mgでは,肝機能悪化,血圧上昇の頻度はやや少なかった.SD症例は多かったが,画像上壊死は少なく,可能な限り800mgへの増量を試みるべきと考えられた.Child B症例へのソラフェニブ投与は重篤な副作用が出現する可能性があり,投与は回避すべきと考えられた.
索引用語 ソラフェニブ, 切除不能肝癌