セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍7

タイトル 消P-699:

当科で経験した切除不能進行肝細胞癌に対するsorafenib療法

演者 石崎 守彦(関西医大・外科)
共同演者 海堀 昌樹(関西医大・外科), 松井 康輔(関西医大・外科), 中竹 利知(関西医大・外科), 松島 英之(関西医大・外科), 權 雅憲(関西医大・外科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌に対するsorafenibが本邦で承認され約2年が経過し、長期経過が追えるようになった。そこで今回当科で経験したsorafenib治療例全例について検討した。【方法】当科でのsorafenib投与例全45例のうち、1)sorafenib単剤投与例35例の背景因子・投与量・治療効果・有害事象・予後についての分析、2)Vp3以上の門脈腫瘍栓を伴う切除不能肝細胞癌に対してsorafenib+CDDP分割肝動注療法PhaseI試験(UMIN000004107)を行った10例について検討、3)チーム医療としての取組みについて報告する。【結果】1)全35例の平均年齢は69.6±8.9歳、男女比5:2、HBVが8例、HCVが21例、HBV+HCVが3例、Child-pugh 分類Aが34例、Bが1例であった。対象は初回切除不能例1例、術後肝再発27例、肺転移7例、骨転移6例、リンパ節転移3例、腹膜播種2例であった。sorafenib投与期間は中央値134日間、1カ月以上投与例は全35例中29例(SD27例、PD2例)、6か月以上投与例は18例(CR1例、SD11例、PD6例)、12か月以上投与例は9例(CR1例、SD7例、PD1例)であった。grade3の有害事象は6例(17%)に認めた(grade4なし)。予後は1年生存率85%、PFS中央値3.7ヵ月であった。2)sorafenib+CDDP療法を行った10例の奏功率は10%(PR1例、SD6例、PD3例)、grade3の有害事象は4例(40%)に認め(grade4なし)、予後はMSTで15.8ヵ月、PFS中央値4.6ヵ月であった。3)当院では医師・看護師・薬剤師らと共に定期的にsorafenib投与症例検討会を行い、有害事象を検証しつつ可能な限りsorafenib増量を試みている。【考察】sorafenib投与をQOLを損なわぬよう可能な限り長期継続するためには、チーム医療による積極的な介在が有用と考えられた。またVp3以上の切除不能肝細胞癌に対するsorafenib+CDDP肝動注療法の安全性・有用性が示唆され(現在PhaseII試験施行中)、Sorafenibを始めとした集学的治療により進行肝細胞癌の予後向上が期待できるものと考えられた。
索引用語 sorafenib, 肝動注療法