セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓-腫瘍8 |
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タイトル | 消P-701:当院における高齢者肝細胞癌診療の現状 |
演者 | 土居 忠(王子総合病院・消化器内科) |
共同演者 | 奥田 敏徳(王子総合病院・消化器内科), 南 伸弥(王子総合病院・消化器内科), 植村 尚喜(王子総合病院・消化器内科), 久保 智洋(王子総合病院・消化器内科), 藤見 章仁(王子総合病院・血液腫瘍内科), 蟹澤 祐司(王子総合病院・血液腫瘍内科) |
抄録 | 【背景・目的】肝癌ハイリスク群の高齢化に伴い肝細胞癌(HCC)症例も高齢化しつつある。高齢者では様々な理由から非高齢者と同じ治療選択が行われないことを経験する。そこで今回は当院における高齢者HCC診療の現状について検討した。【対象・方法】2003年4月より2010年3月までに当院で経験した初発HCC 169例中、80歳以上の高齢者は38例、非高齢者は131例であった。高齢者群と非高齢者群の併存疾患並びにKarnofsky Performance Scale(KPS)を含む背景因子、治療法、予後、死因について比較検討した。また日本肝臓学会提唱の肝細胞がん治療アルゴリズム2010に照らしたガイドライン(GL)治療実施率、さらに肝切除の対象となることが多いChild A、単発、脈管浸潤なしの症例の治療選択について両群間で比較検討した。【結果】性別、肝疾患の原因、VP因子、 Stage、などの背景因子に高齢者群と非高齢者群との間に有意の差を認めなかったが、非高齢者群では肝予備能が悪い傾向にあった。一方、KPSは高齢群で低く、他の悪性腫瘍や精神疾患の合併率は高齢者群で有意に高かった。GL治療実施率は非高齢者群では77.9%であったが、高齢者群では60.5%と低かった。Child A/脈管浸潤なし/単発3 cm以上の症例の治療選択を見たところ、非高齢者群の58.8%(7/17)で肝切除が行われたが、高齢者群の肝切除率は18.2%(2/11)と低く、TACEが選択される場合が多かった。その理由としては低侵襲治療の希望が5例、併存疾患が4例であった。死因における他病死の割合は高齢群で高い傾向にあったが、高齢者群と非高齢者群の累積生存率に差は見られなかった。また高齢者群においてGL治療の可否で層別化した累積生存率に有意差はなかった。【結語】高齢者ではGL治療の実施率は低いが、GL治療の可否で予後に有意差はなく、併存疾患や低侵襲治療への希望に配慮した治療であっても十分行う意義があると考えられる。 |
索引用語 | 高齢者, 肝細胞癌 |