セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍8

タイトル 消P-702:

当科における高齢者肝癌(75歳以上)の特徴~高齢化と発ガンについて~

演者 久保田 陽子(長崎大病院・消化器内科)
共同演者 宮明 寿光(長崎大病院・消化器内科), 柴田 英貴(長崎大病院・消化器内科), 本田 琢也(長崎大病院・消化器内科), 田浦 直太(長崎大病院・消化器内科), 市川 辰樹(長崎大病院・消化器内科), 磯本 一(長崎大病院・消化器内科), 竹島 史直(長崎大病院・消化器内科), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科)
抄録 【背景と目的】わが国では高齢化とともに高齢者の肝細胞癌(HCC)が増加傾向にあることを我々は以前報告した (Oncology reports 21:223-237,2009 ).今回我々は、高齢者(75歳以上)のHCCの臨床病理学的背景を検討し、その特徴を明らかにした.
【対象と方法】 1981年から2007年まで当院消化器内科にてHCCと初めて診断された624症例(年齢63.9±9.8歳、男:女=478:146, HBs抗陽性139例, HCV抗体陽性 430例)を検討対象とした。これらの症例を非高齢者HCC:75歳未満 (544症例,87%)と高齢者HCC:75歳以上(80症例,13%) に分類し、その臨床背景と予後を比較検討した.
【結果】高齢者では非高齢者と比較して女性 (非高齢者:高齢者=22%:36%, p=0.005), 正常肝(非高齢者:高齢者=0.3%:6%, p=0.0002), 非B非C型HCC (非高齢者:高齢者=11%: 31%, p=0.001) ,単発例 (非高齢者:高齢者=53%:76%, p=0.0008), TNM stage 早期(1 or 2) (非高齢者:高齢者=62%: 73%, p=0.0437)が有意に多かった.肝予備能(child-pugh score,アルブミン,ビリルビン,プロトロンビン時間)に関しては両者で有意差はみられなかった。 正常肝から発生したHCCは7例であったが,そのうちの5例は高齢者HCCであった.高齢者と非高齢者では生存期間に有意差は見られなかった (非高齢者:高齢者=4.38年: 3.45年, p=0.665).
【結論】高齢者肝癌は単発で非ウイルス性が多く、TNM stageも比較的早期の症例が多かったことより、根治的治療が行えれば、予後は良好と思われた.一方で正常肝や軽度線維化からの発ガンもみられることより、注意を要すると思われた.
索引用語 肝細胞癌, 高齢者