セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓-腫瘍8 |
---|---|
タイトル | 消P-703:肝癌治療法の変遷と予後~高齢者・非高齢者の比較~ |
演者 | 三宅 達也(島根大・2内科) |
共同演者 | 佐藤 秀一(島根大・2内科), 齋藤 宰(島根大・2内科), 花岡 拓哉(島根大・2内科), 加藤 隆夫(島根大・2内科), 飛田 博史(島根大・2内科), 石原 俊治(島根大・2内科), 天野 祐二(島根大附属病院・光学医療診療部), 木下 芳一(島根大・2内科) |
抄録 | 【目的】島根県は日本の最高齢化県であるが、2006年に当科に入院した消化器疾患患者の集計では、患者総数632人のうち65歳以上の高齢者が60.6%を占めており、悪性疾患では肝癌の入院患者が最多であった。そこで当科に入院したHCC患者について高齢者・非高齢者に分け検討を行った。【方法】1981年~2004年に当科に入院した初発HCC症例496例を対象とし、1980年代(126例)、1990年代(253例)、2000年代(117例)における高齢者と非高齢者の特徴および治療法の変遷、患者の予後について比較検討した。また高齢者に対するRFAの影響を調べるため、2006年1月~2010年6月に当科でRFAを施行しその後6ヶ月間無再発であった78例(高齢者54例)について検討した。【成績】初発HCC患者の平均年齢(高齢者率)は、1980/1990/2000年代で60.6歳(36.5%)/63.5歳(49.4%)/67.2歳(68.4%)と年代を経るごとに高齢化していたが、治療後の累積生存率は有意に向上しており、1980/1990/2000年代の高齢者vs非高齢者の5年生存率はそれぞれ7.3 vs 21.7%(p=0.043)/30.7 vs 36.5%(p=0.259)/41.0 vs 48.6%(p=0.234)と高齢者・非高齢者間の格差も消失していた。初回治療法の内訳をみると、1980年代では高齢者は経カテーテル治療、非高齢者は切除が主流であり、局所治療は全体の11.1%のみであったが、以後局所治療適応例が増し2000年代では局所治療が60.7%(うちRFA78.9%)を占めていた。RFA施行例の検討では、入院日数およびRFA6カ月後のChild-Pugh score変化に関して高齢者・非高齢者間で差はなく、高齢者でも非高齢者と同レベルの治療が可能と考えられた。【結論】HCC患者は高齢化しているが、高齢HCC患者の予後は非高齢者と遜色なくなっていた。これは局所治療適応例が増え、高齢者にも低侵襲に治療が施行できるようになったことが一因と考えられ、局所治療適応である早期に診断・治療をすることが重要と考えられた。 |
索引用語 | 肝細胞癌, 高齢者 |