セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓-腫瘍8 |
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タイトル | 消P-704:高齢者(80歳以上)の肝細胞癌診療の臨床的検討 |
演者 | 金原 猛(東芝病院・消化器内科) |
共同演者 | 手島 一陽(東芝病院・消化器内科), 井上 陽介(東芝病院・消化器内科), 三好 由里子(東芝病院・消化器内科), 中込 良(東芝病院・消化器内科), 田上 大祐(東芝病院・消化器内科), 田代 淳(東芝病院・消化器内科), 松原 康朗(東芝病院・消化器内科), 三輪 純(東芝病院・消化器内科), 新井 雅裕(東芝病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】近年HCC症例における高齢者の占める割合は増加傾向にあるが、身体機能の低下や併存疾患を有する例が多く、非高齢者と同様に治療を行う有用性は明らかではない。今回我々は高齢HCC症例に対する治療の有用性について臨床的検討を行った。【対象】1994年4月から2011年2月までに当院にてHCCと診断された診断時80歳以上の症例46例中、stage I~IIIかつChild-Pugh A、Bの抗癌治療適応ありと考えられる症例38例を対象とし、患者背景、未治療の理由、治療合併症、予後等について検討した。【結果】抗癌治療を施行した症例(以下T群)は26例、未治療症例(以下N群)は12例であった。男女比はT群12:14、N群8:4であり、平均年齢はT群82歳、N群86歳と有意にN群で年齢が高く、糖尿病・高血圧などの他疾患併存率はT群22例(84.6%)、N群10例(83.3%)と同等であった。Child-Pugh A/BはそれぞれT群24/2例、N群6/6例であった。平均最大腫瘍径はT群39mm、N群43mmと同等であった。未治療が選択された主な理由は、難治性腹水1例、認知症1例を除き、患者・家族のとの相談に基づくものであった。治療後の合併症として、心不全悪化1例、ADL低下やせん妄症状が4例で認められたが、いずれも一過性で重篤な合併症は認められなかった。1年、3年生存率は、それぞれT群で87%、65%、N群で50%、34%と有意にT群で良好であった。死亡例はT群12例、N群9例で、死因をHCC関連/肝不全/他疾患/不明とすると、それぞれT群では5/1/3/3例でN群では3/2/3/1例であった。他疾患による死因としてT群では急性腎不全1例、洞不全症候群1例、肺炎1例であり、N群では肺炎3例であった。【結論】80歳以上の高齢HCC症例においても治療による予後改善が示唆されることから、併存疾患を有していても、治療適応あると考えられる症例では積極的にHCCの治療を行うべきと考えられた。 |
索引用語 | 高齢者, 肝細胞癌 |