セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍8

タイトル 消P-706:

当院における脈管・胆管浸潤を伴う進行肝細胞癌に対する放射線治療併用肝動注療法の現状

演者 谷 丈二(香川大・消化器・神経内科)
共同演者 出口 章広(香川大・消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大・消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大・消化器・神経内科), 樋本 尚志(香川大附属病院・総合診療部), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌に対する治療については、外科切除・RFA・肝動脈カテーテル治療・分子標的薬が選択されるが、ガイドラインに記載はないものの放射線治療の有効性が報告されている。今回、我々は骨転移の疼痛緩和を除く当院にて施行した脈管・胆管浸潤を伴う進行肝細胞癌に対する放射線治療併用肝動注療法の現状について検討したため報告する。【対象・方法】2007年1月より2010年12月の間で骨転移の疼痛緩和を除き、当院にて肝細胞癌に対して放射線治療併用肝動注療法を施行した11例を対象とした。男性9例、女性2例、年齢は59~89歳、平均72.4歳であった。背景肝:HCV/HBV/NBNC:8/0/3例。Child-Pugh A/B/C:9/2/0例。肝障害度A/B/C:5/4/2例。放射線治療開始時の病期は、IVa/IVb:10/1例。最大腫瘍径中央値:66(13-101)mm、肝内腫瘍内訳は、片葉:両葉=8:3例、3個以内:4個以上=5:6例。照射部位の内訳は、門脈腫瘍栓(VP3)4例、肝静脈-下大静脈塞栓症5例、肝内胆管2例。併用療法の内訳は、リザーバ動注9例、Oneshot動注2例。総放射線量は40~56Gyで平均47.5Gyであった。照射対象病変の原発性肝癌取り扱い規約第5版に準じて、直接治療効果判定は、最も治療効果があった時点で評価し、総合評価は放射線治療後6ヶ月後を目安にRECIST基準にて総合判定した。【結果】照射対象病変の直接治療効果は、TE4/TE3/TE2/TE1:4/3/2/2病変で局所制御率:63.6%であった。総合評価は、CR/PR/SD/PD:1/5/0/5で奏功率:54.5%あった。RTによる重篤な合併症はみられなかった。RT開始後の平均生存期間に関しては、RT効果の有無で有/無:178/330日とRT効果有の症例で生存期間が長い傾向があったが、症例数が少なく有意差は認めなかった。【結論】放射線治療は肝細胞癌に対する治療ガイドラインには触れられていないが、局所制御能に効果的で安全に施行できる治療法であり、肝動注治療のみでは困難な症例に対して、放射線治療を組み合わせた集学的治療は有効な選択肢になる可能性がある。また、治療効果に寄与する因子を解析し検討したい。
索引用語 動注療法, 放射線治療