セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍8

タイトル 消P-707:

肝細胞癌に対する定位放射線治療の検討

演者 森 敬弘(JR大阪鉄道病院・消化器内科)
共同演者 川浦 由起子(JR大阪鉄道病院・消化器内科), 南 竜城(JR大阪鉄道病院・消化器内科), 三宅 清花(JR大阪鉄道病院・消化器内科), 横溝 千尋(JR大阪鉄道病院・消化器内科), 森本 泰隆(JR大阪鉄道病院・消化器内科), 清水 香代子(JR大阪鉄道病院・消化器内科), 伊藤 正(JR大阪鉄道病院・消化器内科), 清水 誠治(JR大阪鉄道病院・消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌(HCC)に対する放射線治療は,治療範囲内の肝細胞障害も伴うため肝機能の低下した症例では行いにくく,主として門脈腫瘍塞栓に対する集学的治療の一つとして行われてきた.近年HCC自体に対する放射線治療,とくに定位放射線治療(Stereotactic Radiotherapy:SRT)の有用性が報告されており,原発病巣が直径5cm以内で転移病巣のない原発性肝癌は保険適応にもなっている.今回我々は,当科で診断しSRTを行ったHCC症例について治療効果や有害事象を検討したので報告する.【対象と方法】症例は2008年8月から2011年2月までに手術や局所治療が困難であったためSRTを施行したHCC症例17例19結節.年齢(平均値)は65-89歳(76.3歳),男性14例,女性3例,背景肝はHBV 1例,HCV 11例,NBNC 5例,治療時のChild-Pugh Aが11例,Bが6例であった.HCCの腫瘍径(平均値)は10-47mm(25.4mm)で,stageは1/2/3/4:4/12/0/1であり,14例(82%)が再発例あった.SRTは総照射線量(平均)を40-58.8Gy(44.2Gy),照射回数(平均)4-14回(5.7回)で行った.治療後の平均観察期間は9.5ヶ月,治療効果判定は原発性肝癌取扱い規約第5版補訂版に準じて行った.【成績】治療効果判定が可能であった11例12結節を対象とした治療効果は,標的結節治療効果度ではTE4/TE3/TE2/TE1:2/6/3/1,総合評価ではCR/PR/SD/PD:3/1/1/7であった.有害事象として考えらえたものは,肝不全が3例,肝内異所性再発が7例,門脈血栓が1例あり,そのうち死亡例は5例で,死因は肝不全3例,HCC急性増悪1例,脳転移1例であった.今回の検討では,再発治療例が多く含まれたため治療後に異所性再発の頻度が多かった可能性もあり,SRTの適応を決定する上での検討すべき項目と考えらえた.【結論】HCCの対するSRTは局所治療としては有用と考えられるが,異所性再発や治療後肝不全の合併もあり,治療の適応や照射方法について今後十分検討して行うべきと考えられた.
索引用語 肝細胞癌, 定位放射線治療