セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍9

タイトル 消P-708:

門脈浸潤合併進行肝細胞癌に対する集学的治療におけるsorafenibの予後への影響

演者 永井 英成(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
共同演者 向津 隆規(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 松井 太吾(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 金山 政洋(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 塩澤 一恵(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 和久井 紀貴(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 籾山 浩一(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 渡邉 学(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 飯田 和成(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 石井 耕司(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 住野 泰清(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
抄録 【背景】肝細胞がん治療アルゴリズム2010において、Child AまたはBの肝硬変(LC)症例で脈管浸潤を合併した進行肝細胞癌(aHCC)に対する治療法に関しては未だ検討の余地が残されており、さらにsorafenib(SF)の登場によりさらに治療法選択が複雑となっている。【目的】脈管浸潤を合併したaHCC症例に対する集学的治療におけるSFの予後への影響を明らかにする。【対象】2002年12月から2011年2月までに肝動注化学療法(HAIC)を導入し、HAIC導入時にJIS3または4(stageIVでChild AまたはB)でVp3以上の脈管浸潤を伴ったaHCC合併LC患者21症例。内訳はHAICのみを継続した8例(H群)、HAICに放射線療法(RT)を併用した6例(R群)、そしてSFを4週間先行投与後HAICを行った7例(SF群)。【方法】HAICはLeucovorin 12mg/hrとCDDP 10mg/hrを投与した後に5-FU 250 mg/22hrを投与し、5日間連続投与後2日間休薬を4週間施行し、可能な限り繰り返し行った。RTは浸潤部へ1回2Gy、16-60Gy照射。またSFは400~800mg/dayを4週間内服し、HAIC終了後に可能な限り内服を継続した。【結果】背景肝では、H群はHCV7例、Alcohol1例、R群はHBV3例、Alcohol3例、SF群はHBV2例、HCV2例、Alcohol3例であった。腫瘍進行度では、H群はIVA7例、IVB1例、R群はIVA5例、IVB1例、SF群はIVA7例であった。HAIC終了後の奏効率は、H群12.5%、R群16.7%、SF群57.1%であった。生存期間(中央値)は、H群104日、R群288日、SF群345日であった。R群とSF群はH群に比し有意な生存期間の延長を認めた。SF群はR群に比し生存期間の延長傾向を認めたが、有意差を認めなかった。【結語】Vp3以上を伴ったaHCC合併LC患者の治療においてHAICを選択した場合、HAIC単独よりもRTの併用かSFの先行投与後にHAICを行う方が予後の改善が期待できる可能性、更にはSF先行投与後HAIC導入がRT併用よりも予後の改善が期待できる可能性が示唆された。
索引用語 進行肝細胞癌, 分子標的治療薬