セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍9

タイトル 消P-709:

進行肝細胞癌合併肝硬変症に対するsorafenib投与後肝動注化学療法導入の宿主免疫学的変動からみた有用性

演者 永井 英成(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
共同演者 向津 隆規(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 松井 太吾(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 金山 政洋(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 塩澤 一恵(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 和久井 紀貴(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 籾山 浩一(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 渡邉 学(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 飯田 和成(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 石井 耕司(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 住野 泰清(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
抄録 【背景】宿主免疫において、Th1細胞は抗腫瘍免疫を高め、そしてTh2細胞は抗腫瘍免疫を低下させると言われている。【目的】進行肝細胞癌(aHCC)合併肝硬変(LC)症例において、分子標的薬であるsorafenib(SF)を用いた集学的治療の有用性を宿主免疫学的変動から明らかにする。【対象】aHCC合併LC患者で、2008年3月から2011年1月までに当院でHAICを導入した43症例(FP群)、2009年6月から2011年1月までにSFを投与した30症例(SF群)、そしてSFを4週間先行投与後HAICを行った7例(SF+FP群)を対象とした。【方法】HAICはLeucovorin 12mg/hrとCDDP 10mg/hrを投与した後に5-FU 250 mg/22hrを投与し、5日間連続投与後2日間休薬を4週間施行。SF群は200~800mg/body/dayを4週間服用。SF+HAIC群はSF400~800mg/dayを4週間内服し、HAICを4週間施行。FP群とSF群は投与前と4週間後に、そしてSF+HAIC群は投与前とHAIC終了後に早朝空腹時に採血を行い、末梢血中CD4陽性Tリンパ球中サイトカイン分析は、IFN-γ陽性、IL-4陰性(Th1)、IFN-γ陰性、IL-4陽性(Th2)、CD25陽性、CD127陰性(Treg)に分画した。【成績】FP群において、治療奏効別の検討でPD症例はTh2細胞優位でTreg細胞の上昇、そしてPRおよびSD症例はTreg細胞の治療前後での有意な低下を認めた。SF群において、SF200mg内服症例は有意な変動を認めなかったが、400または800mg内服症例はTh2細胞およびTreg細胞の治療前後での有意な低下を認めた。SF+HAIC群において、Th2細胞およびTreg細胞の治療前後での有意な低下を認め、さらにHAICの明かな奏効率向上を認めた。【結語】aHCC合併LC症例における集学的治療において、宿主免疫学的検討から治療奏効率の向上にはTh2細胞およびTreg細胞の低下を誘導することが重要であり、それを有するSFをHAICに併用することは有用性が高い可能性が示唆された。
索引用語 進行肝細胞癌, 宿主免疫