セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍9

タイトル 消P-710:

当院における進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療例の検討

演者 松本 知訓(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科)
共同演者 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 小川 智(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 高島 健司(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 増尾 謙志(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 岡本 佳子(済生会茨木病院・内科), 福島 政司(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 木本 直哉(きもと内科クリニック), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器センター内科)
抄録 【目的】肝細胞癌(HCC)へのソラフェニブの使用機会が増加してきているが、その有効性を示した海外の第III相試験は何れも前治療歴が比較的少ない群がその対象であり、肝動脈塞栓療法(TACE)等の治療を繰り返した後でのソラフェニブの効果については未だ十分な知見が得られていない。当院ではこれまで、TACE等多くの前治療を行った後に最終治療としてソラフェニブを導入する場合が多かった。当院でのソラフェニブ加療例を後ろ向きに調査し、多くの前治療を行った後でのソラフェニブ治療の有効性を検討した。【方法】当院にて2011年3月までにHCCに対しソラフェニブ継続加療を行った19例を対象とした。【成績】ソラフェニブ開始時のHCC進行度はStageIII/IVA/IVBが各々5/4/10例であった。19例全例でHCC治療歴があり、3回以上のTACE/肝切除術/動注リザーバー療法/全身化学療法を行っていた症例が10/3/1/3例であった。全生存期間の検討では、累積生存率は3/6ヶ月で74/49%、生存期間中央値(MST)は168日であった。19例中、ソラフェニブ開始後は他治療を一度も行わずソラフェニブが最終治療であった症例は15例(79%)あり、これら最終治療群の累積生存率は3/6ヶ月で64/43%、MSTは151日と不良であった。逆にソラフェニブの休薬中や中止後にTACE等他治療への切り替えが可能であった4例(21%)のMSTは483日であった。最終治療群ではソラフェニブによる治療期間中央値が41日であり、原疾患の進行やソラフェニブの副作用により早期にソラフェニブ治療から脱落する傾向を認めた。【結論】TACE等による積極的な局所療法を反復した後にソラフェニブを導入した場合、長期の治療継続が困難な傾向があり海外第III相試験の報告よりも治療成績が不良であった。今後は他治療と組み合わせたソラフェニブの早期導入も考慮されると思われる。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ