セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍9

タイトル 消P-711:

ソラフェニブ治療経過中に画像上乏血域を認めた症例の病理組織学的検討

演者 飛田 博史(島根大附属病院・肝臓内科)
共同演者 佐藤 秀一(島根大附属病院・肝臓内科), 三宅 達也(島根大附属病院・肝臓内科), 加藤 隆夫(島根大・2内科), 花岡 拓哉(島根大附属病院・肝臓内科), 斉藤 宰(島根大附属病院・肝臓内科), 石原 俊治(島根大・2内科), 天野 祐二(島根大・光学医療診療部), 木下 芳一(島根大・2内科)
抄録 【目的】肝細胞癌症例に対するソラフェニブ治療はSHARP試験で生存率改善に寄与するという結果を得ているが、治療中の画像評価に関しては、腫瘍のサイズの変化と内部血流の変化が必ずしも一致しない症例を認める。今回我々は当院の治療成績を検討するとともにソラフェニブ治療経過中に画像上乏血域を認めた3症例の病理組織学的検討を行った。【方法】平成21年6月から平成23年3月までの期間に当院で治療を導入した肝細胞癌患者19例を対象とした。治療経過中に画像上乏血域を認めた症例のうち、同意が得られた3症例に対して超音波ガイド下肝生検を施行した。【結果】男性/女性 15/4症例。平均年齢71.2歳。平均服用期間126日。平均観察期間249日。HBV/HCV/NBNC 3/13/3症例。Child-Pugh score 5/6/7/8点 7/8/3/1症例。HCC Stage II/III/IVA/IVB 1/5/7/6症例。副作用やPDでソラフェニブ治療開始後3カ月以内に中止した症例は8例、3カ月以降に中止した症例は4例であった。治療効果が判定できた症例は11例であった。治療効果(CR/PR/SD/PD)は RESIST基準で0/2/4/5、日本肝癌研究会基準で1/1/4/5症例(病勢コントロール率54.5%、奏効率18.2%)であった。19症例の累積生存率は3ヶ月89.5%、6ヶ月78.9%、1年57.9%であった。治療経過中に腫瘍マーカーが正常化した1症例では、造影超音波検査において部分的に乏血域が出現し、生検をしたところ少量の凝固壊死部分を含むviableな肝細胞癌所見を認めた。TACE先行のソラフェニブ治療後、周囲の早期濃染域を残しながら中心部の乏血域の拡大を認めた2症例で乏血域を狙って狙撃生検を施行した。1例は凝固壊死のみを認めたが、もう1例は凝固壊死とviableな肝細胞癌の両所見を認めた。【結論】ソラフェニブ投与により乏血となる領域に関しては壊死も含めた何らかの変化をきたしていると考えるが、今後癌結節全体での検討が必要であると思われた。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ