セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-腫瘍9

タイトル 消P-712:

肝癌治療におけるソラフェニブの有害事象と予後因子:多施設での検討

演者 中野 聖士(久留米大・消化器内科)
共同演者 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】我々は久留米大学関連12施設においてKurume Liver Cancer Study Groupを発足させ、症例を集計して解析を行い、肝細胞癌に対するソラフェニブ治療のよりよい方法を検討する事とした。【方法】2009年5月~2011年3月31日の期間にソラフェニブを投与された切除不能肝細胞癌96症例を対象とし、背景・有害事象・効果について検討した。効果判定にはRECISTガイドライン(Ver. 1.1)を用いた。【成績】平均年齢は70.4±2.1歳、男性76例・女性20例で、HBsAg陽性20例・HCVAb陽性59例・その他17例であった。投与前の腫瘍進行度はStage II 5例・III 18例・IV A 12例・IV B 61例で、主な肝外転移は肺41例・骨14例・リンパ節12例であった。投与前の主な治療歴はTACE 48例・動注化学療法34例・肝切除術25例・PRFA 23例であった。初回投与量は800mg 50例・600mg 8例・400mg 37例・200mg 1例で、一日平均投与量は510mgであった。期間中に40例が死亡、平均投与期間は127±26日・平均観察期間は194±28日で、既に71例で投与を中止し、中止例の平均投与期間は104±24日であった。何らかの有害事象を86例に認め、主な事象は手足皮膚反応49例・下痢23例・脱毛13例・肝機能障害13例・全身倦怠感11例であった。重篤な有害事象として間質性肺炎と腫瘍崩壊症候群がそれぞれ1例みられた。30日以上内服可能であった72例に対して効果判定を行ったところ、PR 12例・SD 36例・PD 24例であった。Kaplan-Meier法による生存分析を行ったところ、生存期間の中央値は349±178日、無増悪期間の中央値は145±40日であった。Cox比例ハザード分析により予後因子の比較検討を行ったところ、単変量解析では根治術歴(肝切除術またはPRFAの既往あり)・投与期間(30日以上)・AFP値(1000ng/ml未満)・DCP値(1000mAU/ml未満)が、多変量解析では根治術歴・投与期間・DCP値が有意な予後良好因子であった。年齢・性別・肝予備能・腫瘍進行度・投与量・治療効果については、いずれも有意な予後予測因子ではなかった。
索引用語 肝癌, ソラフェニブ