セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-門脈圧亢進症

タイトル 消P-715:

特発性門脈圧亢進症において、ソナゾイド造影超音波早期相で観察された特異な所見について

演者 嶋田 太郎(千葉大附属病院・消化器内科)
共同演者 丸山 紀史(千葉大附属病院・消化器内科DELIMITERDivision of Gastroenterology and Hepatology, Virginia Commonwealth University), 亀崎 秀宏(千葉大附属病院・消化器内科), 石橋 啓如(千葉大附属病院・消化器内科), 高橋 正憲(千葉大附属病院・消化器内科), 横須賀 收(千葉大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】特発性門脈圧亢進症(IPH)は、肝硬変との鑑別がしばしば問題となる。今回、IPH肝でソナゾイド造影超音波にて観察された特異な所見について、肝硬変や正常肝における造影所見との比較から検討したので報告する。【方法】対象は、血管造影および組織検査にて確定診断が得られたIPH10例と組織学的に診断された肝硬変48例、コントロール37例の計95例である。造影超音波(ソナゾイド、0.0075mg/kg)では門脈右主分枝を含む肝右葉を描出し、造影後1分間をHarmonic imaging(MI0.25、15Hz)で観察した。本研究は2008年4月のIRBの承認後、各症例の同意の上で行われた。【成績】1.肝実質造影の定性的検討:コントロールでは全例で、造影効果が均一に発現・増強し一様な造影像を呈した。一方IPHでは全例で、門脈壁に沿った肝実質の一部に造影効果の遅延がみられ、結果として不均一な造影像を呈した。また硬変肝では、15例では均一な実質造影を呈し33例では不均一であった。後者の大部分(28/33例)は小さな低造影域のびまん性分布が要因であったが、一部の例(5/33例)ではIPHに類似した造影像を示した。門脈周囲の遅延造影所見はIPHに有意に高頻度であった(p<0.0001)。2.肝実質造影の定量的検討:不均一造影を呈した肝実質における最大輝度差は、IPHでは16.4±5.4 (9.9-25.3)dB、肝硬変では13.9±4.7 (7.6-26.8)dBで両者に有意差を認めなかった。一方、不均一造影の持続時間はIPHでは19.7±8.6 (11-39)秒、肝硬変では10.3±5.9 (4-32)秒とIPHで有意に長く観察され、いずれの例も最後には均一な造影を示した。【結論】造影早期相における肝実質の限局性造影遅延はIPHに特徴的で、門脈壁周囲の線維化による気泡の流入・分布異常に基づくものと推測された。一方、肝硬変における不均一な実質造影は粗な実質像の反映と考えられたが、一部の例ではIPHに類似の像を示した。造影所見と病理像との対比が、今後の課題である。
索引用語 特発性門脈圧亢進症, 造影超音波