セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 14:胃多発転移により診断された再発乳癌の一例 |
演者 | 在田 修二(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学) |
共同演者 | 白川 剛(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 江里口 芳裕(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 内野 慶太(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 磯部 大地(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 平野 元(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 草場 仁志(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 馬場 英司(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 中野 修治(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学), 原田 実根(九州大学大学院 医学研究院 病態修復内科学) |
抄録 | 症例は60歳女性。前医で1998年右乳癌(高分化型腺癌、プロゲステロン受容体陽性)に対し拡大右乳房切除術を受け、リンパ節転移陽性であったため、術後化学療法(CMF)2コース施行(副作用のため中止)し、その後タモキシフェンを2年間投与され、経過観察されていた。2006年6月腹痛が出現し、両側水腎症、CEA、CA125の上昇を指摘され同院泌尿器科、産婦人科にて精査されるも原因不明であった。10月上部消化管内視鏡検査で胃角後壁、胃体下部大弯にびらんを認め、同部位の病理組織検査で低分化腺癌と診断された。下部消化管造影検査では管外性圧迫による全周性の直腸狭窄を認め、ダグラス窩転移が疑われた。胃癌腹膜播種の疑いで11月28日当科入院となった。入院後の上部消化管内視鏡検査では、胃内にびまん性に数mm前後のIIc様病変が認められた。これらの病理組織所見はいずれも低分化腺癌であり、免疫染色でGCDFP-15抗原陽性であったことより乳癌の胃転移と診断された。腹水細胞診では胃生検組織に類似した腺癌細胞を認め、乳癌の腹膜播種と診断された。CT・MRIでは、胃周囲のリンパ節転移、頭蓋骨・椎体・骨盤骨のびまん性骨転移の所見であった。腫瘍マーカーはCEA、CA125の他CA15-3の上昇を認めた。HER2陰性の乳癌術後再発に対してドセタキセルによる化学療法を施行し、直腸狭窄に伴う症状の緩和を認めている。胃癌のうち転移性胃癌はまれであり、その中で乳癌の頻度は比較的高いものの多くは乳癌死亡後の剖検例にみられ、本例のように胃転移で診断される乳癌はごく稀である。乳癌既往を有する患者に胃癌を認めた際には原発性胃癌の他に転移性胃癌も考慮し、転移性と診断された場合には原発巣に応じた治療法が選択されるべきである。示唆的な症例と考えられるため、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 転移性胃癌, GCDFP-15 |