セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-門脈圧亢進症

タイトル 消P-716:

門脈逆流を伴った胃静脈瘤に対するB-RTO

演者 亀崎 秀宏(千葉大附属病院・消化器内科)
共同演者 丸山 紀史(千葉大附属病院・消化器内科), 関本 匡(千葉大附属病院・消化器内科), 嶋田 太郎(千葉大附属病院・消化器内科), 石橋 啓如(千葉大附属病院・消化器内科), 高橋 正憲(千葉大附属病院・消化器内科), 横須賀 收(千葉大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】門脈逆流を伴った胃静脈瘤に対するB-RTOの治療成績を検討し、高度短絡路例における本法の適応と意義を考察した。【方法】B-RTOを試みたF2以上の胃底部静脈瘤合併肝硬変109例を対象とした。術前の超音波では門脈/脾静脈血流の逆流群が35例、順流群が74例であった。なお門脈本幹を含む広範な逆流を呈した5例では、バルンカテーテルによる排血路閉塞時の門脈血流変化を超音波にて観察した。【成績】1. 患者背景:両群間で、年齢、性別、内視鏡所見、食道静脈瘤合併、出血歴、Child-Pugh、肝癌の有無について有意差を認めなかった。2. 血行動態:塞栓前の肝静脈圧較差(mmH2O;順流177.2±76.1/逆流162.4±76.8)や、塞栓に伴った圧変動(変化量:33.1±81.1/44.3±63.4、変化率:31.1±66.3/82.1±136.0%)に両群間で有意差を認めなかった。術中超音波を施行した4/5例では逆流から順流への変化を確認し治療を行った。しかし他の1例では、バルン閉塞時に順流へ変化せず門脈血流は停滞し、広範な門脈血栓の合併が予想されたため治療を回避した。3. 治療経過:胃静脈瘤の塞栓効果は両群(順流93.2%/逆流82.9%)で有意差を認めず、食道静脈瘤の1年累積増悪率(順流23.5%/逆流38.6%、P=0.867)も同等だった。一方、1年後の肝機能増悪(Child score +2点以上の変化)は順流群(10.9%)に比べ逆流群(35.7%;P=0.005)で多くみられ、術後1年以内の血栓性疾患の合併も順流群(門脈血栓2)より逆流群(門脈血栓5、DIC 1、脾梗塞1;P=0.005)で高率だった。またChild B/C例の累積生存率は、順流群(1年94.7%、5年58.1%、9年37.4%)に比べ逆流群(1年75.0%、5年33.9%、9年22.6%;P=0.007)で低率であった。【結語】B-RTOは、門脈逆流を呈する胃静脈瘤においても良好な塞栓効果を示した。しかし逆流例では術後の血栓性疾患が高率でChild B・C例の予後が不良であることから、周術期管理ならびに予防治療の適応に関しては慎重に対応すべきである。
索引用語 B-RTO, 胃静脈瘤