セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 173:内視鏡的止血困難な出血性十二指腸潰瘍を契機に診断された後天性血友病Aの1例 |
演者 | 村田 篤彦(麻生飯塚病院 消化器内科) |
共同演者 | 赤星 和也(麻生飯塚病院 消化器内科), 本村 廉明(麻生飯塚病院 消化器内科), 松井 謙明(麻生飯塚病院 消化器内科), 久保川 賢(麻生飯塚病院 消化器内科), 大内 二郎(麻生飯塚病院 消化器内科), 木村 光秀(麻生飯塚病院 消化器内科), 本田 邦臣(麻生飯塚病院 消化器内科), 遠藤 伸悟(麻生飯塚病院 消化器内科), 田口 文博(麻生飯塚病院 血液内科), 中村 和彦(九州大学 病態制御内科学) |
抄録 | 【症例】77歳女性.【既往歴】67歳時より高血圧症、2型糖尿病【現病歴】2006年6月28日、下血が出現し近医受診。上部消化管内視鏡検査を施行し、上十二指腸角から下行脚に潰瘍を認め、HSE局注法及びclipによる内視鏡的止血術を施行した。しかし頻回に潰瘍からの出血による下血が認められ、また右鎖骨下のIVH刺入部からの漏出性出血が持続する為、精査加療目的にて8月2日当院紹介入院となった。【現症】眼瞼結膜に貧血所見を認める。皮下出血、筋肉出血の所見なし。【血液生化学検査】一般血液検査では、Hgbは7.7g/dlと貧血を認めた。生化学検査では、CRPが8.4mg/dlと上昇を認めた。また凝固系検査では、PTの軽度低下とAPTTの著明な延長を認めた。【入院後経過】入院同日、上部消化管内視鏡検査を施行。潰瘍内部に明らかな露出血管なく、活動性出血は認めなかった。絶食・輸液管理を継続し、MAP及びFFPの投与を行い,PTはすみやかに正常値まで改善を認めたが,APTTの改善は認められなかった。8月2日に下血が出現し、再度上部消化管内視鏡検査を施行.潰瘍の表面に巨大な凝血塊を認め、凝血塊周囲にHSE局注法による内視鏡的止血術を施行し終了した。FFPの投与を継続するもAPTTの延長は改善しないため、凝固因子異常を疑い、各種凝固因子を提出したところ、著明な第8凝固因子の低下と抗第8凝固因子抗体陽性を認め、後天性血友病Aと診断した。8月16日、上部消化管内視鏡検査を施行したが,潰瘍からの明らかな出血はなく、翌日より経口摂取を開始したが、下血は認められなかった。8月25日より当院血液内科にてプレドニゾロン、シクロフォスファマイドの内服による免疫抑制療法及びコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムによるステロイドパルス療法を施行し、下血の消失とAPTTの正常化及び抗第8凝固因子抗体の消失を認め、11月22日当院退院となった。【考察】内視鏡的止血困難な消化管出血の症例に遭遇した場合,消化管病変及び内視鏡的止血術のみに注目するだけではなく,本症例のような凝固異常を来たす全身的基礎疾患も念頭において診療に当たることが重要であると考えられた。 |
索引用語 | 後天性血友病A, 内視鏡的止血困難 |