セッション情報 一般演題

タイトル 200:

腹腔鏡下胆嚢摘出術時に採取した胆汁培養の検討

演者 重政 有(佐世保中央病院 外科)
共同演者 清水 輝久(佐世保中央病院 外科), 蒲原 涼太郎(佐世保中央病院 外科), 梶原 啓司(佐世保中央病院 外科), 碇 秀樹(佐世保中央病院 外科), 菅村 洋治(佐世保中央病院 外科), 國崎 忠臣(佐世保中央病院 外科), 米満 伸久(佐世保中央病院 病理)
抄録 (目的)胆道感染症は胆嚢結石の要因の一つで、胆汁内細菌については多くの検討がなされてきた。近年、胆石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)が標準術式となったがLC時の胆汁培養の報告は少ない。今回、最近8年間に経験したLC時における胆汁培養の結果を検討した。(対象)1998年1月から2005年12月までの8年間、腹腔鏡下に胆嚢摘出術を行った症例は454例で、開腹移行例は40例(8.8%)であった。このうち胆汁培養を行った415例を対象とした。(結果)415例中76例(18.3%)が胆汁培養陽性であった。検出された菌株数は129株で、分離菌の種類はEnterococcus sp.24株(18.6%)、Klebsiella sp. 22株(17.1%)、E. coli 15株(11. 6%)、Streptococcus sp. 14株(10.9%)、Enterobacter sp. 13株(10.1%)、Bacteroides sp./ Clostridium sp.11株(8.5%)、Fusobacterium sp. 6株、Citrobacter sp. 4株、Candida sp. 3株、Pseudomonas sp. 3株、その他14株であった。混合感染例は43.4%であった。培養陽性率の男女別では男性44例、女性32例と細菌検出率に差はなかった。年齢別では40歳台4.9%、50歳台11.2%、60歳台22.2%、70歳台36.0%、80歳台76.2%と高齢になるに従って高率であった。59歳以下と60歳以上でわけると59歳以下6.3%(15例/238例)、60歳以上34.5%(61例/177例)と60歳以上で培養陽性率は有意に高率だった。術後感染症を4例(5.3%)に認め、いずれの症例も60歳以上であった。(まとめ)LCにおける胆汁培養陽性率は18.3%と低率であった。高齢になるにしたがって陽性率は上昇し、60歳以上では34.5%であった。胆汁培養陽性例の5. 3%に術後感染症を認め、いずれの症例も60歳以上であった。高齢者では抗菌薬治療の種類、使用期間を含めて慎重に経過を観察することが必要と考えられた。
索引用語 腹腔鏡下胆嚢摘出術, 胆汁培養