セッション情報 一般演題

タイトル 28:

大腸多発腺腫と消化管粘膜に色素沈着を伴ったCronkhite-Canada症候群の1例

演者 檜沢 一興(公立学校共済組合九州中央病院消化器科)
共同演者 南部 匠(なんぶクリニック), 中守 真理(公立学校共済組合九州中央病院病理), 中原 束(公立学校共済組合九州中央病院消化器科), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学大学院病態機能内科学)
抄録 症例は57歳、女性.2005年4月中旬、水様下痢に続いて味覚異常、爪甲脱落、頭髪脱毛が出現し近医を受診した.臨床兆候よりCronkhite-Canada症候群(CCS)が疑われ、5月16日当科紹介となった.白血球数4540/μLで分画に異常なく、血色素9.4g/dLで軽度の鉄欠乏性貧血を認め、血中アルブミン値は3.6g/dLと低値だった.血中コルチゾール、freeT4、TSHは正常範囲だった.全消化管検査にて胃、十二指腸、回腸、大腸に大小多数の発赤したポリープを認め、特に胃前庭部と上行結腸には密在していた.ポリープは平滑で過形成性腺管模様を呈しており、生検でも豊富な間質と炎症細胞浸潤を伴う拡張した腺管を認めCCSに合致する所見だった.S状結腸に1cmのIs型腺腫性ポリープと大腸に散在する微小腺腫を認める以外には腫瘍性病変は認めなかった.ポリープ周囲粘膜は浮腫状に肥厚しており、胃体部には点状の色素斑、大腸粘膜にはびまん性の色素沈着を認めた.経腸栄養剤にて補助栄養を行ったが効果乏しく、prednisolone 30mgの経口投与を開始した.その後、症状消失し臨床検査所見も正常化した.prednisoloneを漸減し、6ヵ月後に消化管検査を行ったが病変に著変はなかった.CCSの約10%に大腸癌の合併が報告されており、現在慎重に経過を観察している.CCSの臨床徴候で皮膚色素沈着は知られているが、消化管色素沈着も認めた点で興味深いと考え報告する.
索引用語 消化管ポリポーシス, 大腸腺腫