セッション情報 一般演題

タイトル 11:

脳転移で発見されガンマナイフと化学療法が奏功した胃癌の1例

演者 檜沢 一興(公立学校共済組合九州中央病院消化器科)
共同演者 芳賀 整(公立学校共済組合九州中央病院脳外科), 中守 真理(公立学校共済組合九州中央病院病理), 中原 束(公立学校共済組合九州中央病院消化器科), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科), 飯田 三雄(九州大学大学院病態機能内科)
抄録 症例は51歳、男性.2006年4月頃から全身倦怠、食欲低下が出現し体重が約10Kg減少した.同年8月7日、頭痛が増強し歩行困難となり当科受診した.理学所見にて左上下肢不全片麻痺(4/5)と左視野狭窄を認めた.腹部エコー検査にて胃腫瘤を認め、頭部MRI検査にて右頭頂葉に広汎な浮腫を伴う2.5cmの単発性転移性脳腫瘍と診断し緊急入院となった.ステロイド、グリセオール投与にて脳圧亢進症状軽快し麻痺も消失した.上部消化管内視鏡検査にて下部食道から胃角小弯に及ぶ巨大な3型病変を認めた.生検にて低分化腺癌と診断し原発巣と判断した.全身CT検査では著明な腹腔内リンパ節転移を認めたが、単発脳転移巣以外には遠隔臓器転移は認めなかった. 8月15日に頭部ガンマナイフ放射線治療(GKR)後、5FU400mg/m2 (D1-5, D8-12)とCDDP40mg/m2 (D1, D8)による化学療養を4クール施行した.特に副作用なく病変は著明に縮小し、モルヒネによる疼痛緩和や中心静脈栄養管理は不要となった.2006年12月1日退院後、外来にてTS1内服による化学療法を継続している.胃癌の脳実質転移は1%未満と少なく、無治療例での平均余命は2ヶ月、脳転移巣手術可能例でも6ヶ月と極めて予後不良である.自験例は単独脳転移で発見された進行胃癌で、ガンマナイフと化学療法にて良好な治療効果が得られたので、文献的考察のうえ報告する.
索引用語 胃癌, 転移性脳腫瘍