セッション情報 一般演題

タイトル 234:

内視鏡で観察しえたエロモナス腸炎の1例

演者 矢野 豊(町立芦屋中央病院)
共同演者 大原 次郎(町立芦屋中央病院), 櫻井 俊弘(町立芦屋中央病院)
抄録 Aeromonasはグラム陰性の通性嫌気性桿菌で、河川や池などの淡水や沿岸の土壌に広く分布し、わが国ではAeromonas hydrophila と Aeromonas sobriaが感染性腸炎の原因菌として成書にも記載されている。しかし、内視鏡像が記載されたAeromonas腸炎の報告は多くない。今回、我々は腸病変を内視鏡で観察しえたエロモナス腸炎の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】28歳、男性。【主訴】下腹部痛、下痢、発熱。【現病歴】平成18年11月25日、馬刺と餃子を摂取した。11月26日より下腹部痛、37℃台の発熱とともに1日7行の下痢が出現し、11月27日に当科を受診した。【既往歴・生活歴・家族歴】特記事項なし【現症】体温:37.5℃、他バイタルサイン異常なし。腹部所見:平坦軟、腸雑音異常なし。右下腹部に圧痛あり、腫瘤触知せず、反跳痛なし。【検査所見】血算ではWBC 13700/μl(NEUT 78.1%)好中球優位の白血球増加を認め、CRP 10.2 mg/dlと高度の炎症所見を認めた。生化学においてはAST44IU/L、ALT 76IU/Lと軽度の肝酵素の上昇を認め以外には異状はなかった。初診時に施行した全大腸内視鏡検査では、回腸末端に白苔を伴う地図上潰瘍が散在していた。介在部には頂部に発赤をともなう大小不同のアフタ様病変を認めた。大腸にも紅暈をともなう小さなアフタ様病変が多発していたが、その分布は近位大腸では疎らであり、深部大腸に多数観察された。生検病理所見では急性の炎症所見以外に特異的な所見はなかった。小腸X線検査では回腸末端に約15cmにわたる浮腫像を認める以外に異常はなかった。大腸粘膜の細菌培養にてAeromonas hydrophilaを検出した。【経過】入院後3日間絶食、輸液、CTM2g/dayの投与を行った。腹痛、下痢、発熱などの自他覚症状は速やかに改善し、4日目には消失した。また、CRP陽性、白血球増多も改善した。発症1週後の全大腸内視鏡検査では、回腸末端の地図上潰瘍は改善し、大腸のアフタ様病変も直腸に認めるのみとなった。
索引用語 エロモナス, 感染症