セッション情報 一般演題

タイトル 25:

直腸肛門部悪性黒色腫の1例

演者 武市 昌郎(国家公務員共済組合連合会 新小倉病院 内科)
共同演者 柏木 陽一郎(国家公務員共済組合連合会 新小倉病院 内科), 古賀 有希(国家公務員共済組合連合会 新小倉病院 内科), 松原 不二夫(国家公務員共済組合連合会 新小倉病院 内科), 野村 秀幸(国家公務員共済組合連合会 新小倉病院 内科), 井上 重隆(国家)
抄録 症例は70歳代、女性。平成16年3月頃より便中の狭小化を認めるようになり大腸内視鏡検査を施行。直腸Rb後壁に隆起性病変を認め,生検病理組織検査にて悪性黒色腫が疑われ,精査・加療目的にて当科へ入院した。入院時現症、入院時検査所見上,特記すべき異常所見は認めなかった。下部消化管造影検査では直腸Rb後壁に約30mmの辺縁平滑な類円形の隆起性病変を認めた。粘膜下腫瘍の形態を呈し、隆起頂部には淡い不整なバリウム斑や結節状の透亮像を認めた。空気量変化にて病変の変形を認め柔らかい印象であった。下部消化管内視鏡検査では直腸Rbで歯状線に接するように半球状の隆起性病変を認めた。腫瘍の立ち上がり途中まで正常粘膜に覆われ粘膜下腫瘍の形態を呈し、頂部は粘膜が脱落し腫瘍が露出していた。露出部には結節様隆起を認め、腫瘍隆起表面の一部には黒褐色班、灰色斑を認めた。精査の結果、転移を示唆する所見も無く、直腸肛門部悪性黒色腫の診断にて腹会陰式直腸切断術と人工肛門造設術を施行した。摘出標本では直腸Rbで歯状線に接するように立ち上がり急峻な隆起性病変を認め、腫瘍の大きさは23×20mmであった。病理組織検査上、メラニンと腫瘍細胞の増生を認め、マクロファージがメラニンを貪食している像を認めた。免疫染色HMB 45、S 100ともに腫瘍細胞が染色されており悪性黒色腫と確定診断した。深達度はsm深部浸潤であり、切除断端は陰性、脈間浸潤なくリンパ節転移も認めなかった。直腸肛門部悪性黒色腫は全直腸肛門部悪性腫瘍中、0.38%とされる非常に稀な疾患であり、外科的切除された例でも5年生存率は18.7%とされ予後不良である。長期生存の条件としては,1.腫瘍径が5cm未満,2.深達度mp以内,3.リンパ節転移の有無に関わらず広範なリンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断術が行われていることとされている。本症例は長期生存の条件を満たしていたが、経過中肺転移、癌性胸膜炎、肝転移が出現し術後2年で死亡した。今回、我々は直腸肛門部悪性黒色腫の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
索引用語 悪性黒色腫, 直腸肛門部