セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
31:内視鏡的に経過を追えたCap polyposis の1例
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演者 |
古川 敬一(福岡市医師会成人病センター ) |
共同演者 |
宇野 博之(福岡市医師会成人病センター ), 山口 真三志(福岡市医師会成人病センター ), 槙 信一郎(福岡市医師会成人病センター ), 横山 圭二(福岡市医師会成人病センター ), 八尾 隆史(九州大学医学部第二病理) |
抄録 |
患者は47歳女性。下痢、粘液便、下腹部痛出現し近医にて感染性大腸炎と診断され投薬治療を受けたが改善せず、当院へ紹介となった。採血にて炎症所見なく、培養も陰性であった。大腸内視鏡検査では直腸に限局して発赤粘膜を認め、MPS(直腸粘膜脱症候群)を疑い経過観察したが、症状改善せずむしろ口側のS状結腸に病変が進展していった。典型的ではないが潰瘍性大腸炎を疑い入院のうえサラゾピリン、リンデロン坐薬を投与し経過観察した。症状は一時改善傾向を示したため退院し外来で様子をみたが再び悪化した。内視鏡検査では直腸からS状結腸にかけて大小不同のびらん(一部地図状)が多発していた。介在粘膜は正常に見えた。生検でCap polyposis が疑われ臨床症状とあわせCap polyposisと診断した。このころ排便回数は1日5行から10行、軟便と淡血性の粘液の排泄があり強い肛門痛を伴っていた。また下肢浮腫も認められた。そして経過中これら症状の軽快、増悪をくりかえしていた。治療として排便習慣の改善、緩下剤、整腸剤、ポリカルボフィルカルシウム等投与したが、寛解は得られなかった。そのためヘリコバクター ピロリ除菌療法を試みた。除菌直後は症状変わらず、肛門痛が強かったためネリプロクト座剤を追加投与した。1ヵ月後症状は改善傾向を示し、さらに1ヵ月後ほぼ改善した。また内視鏡所見でもCap poryposis は消失していた。その後無投薬にて再発は見られていない。以上、内視鏡的に経過を追えたCap polyposis の1例を経験した。治療も含め若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
Cap polyposis , 粘膜脱症候群 |