セッション情報 一般演題

タイトル 115:

バレット腺癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術

演者 島岡 俊治(南風病院 消化器科)
共同演者 鳥丸 博光(南風病院 消化器科), 田代 光太郎(南風病院 消化器科), 松田 彰郎(南風病院 消化器科), 仁王 辰幸(南風病院 消化器科), 新原 亨(南風病院 消化器科), 西俣 嘉人(南風病院 消化器科), 田中 貞夫(南風病院 病理科), 西俣 寛人(南風病院 消化器科), 江川 伸一郎(江川内科消化器科)
抄録 (目的・方法)バレット食道に関連した高度異形成や表在癌に対して食道切除術は依然標準的治療とされているが侵襲が大きいためリンパ節転移の危険性が低いと考えられる症例においては粘膜切除術 (EMR) や焼灼術などの内視鏡治療が選択されることが多い。しかしながら術前の深達度、側方進展の診断が困難であることさらに一括切除が困難であることがしばしばあり、不完全切除や高い局所再発率が問題となっている。したがって治療方針決定のためにも病理学的評価を正しく行う必要がある。内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) は消化管の大きな表層性腫瘍に対して一括切除を可能にする新しい治療法として注目されている。今回われわれは自験例からバレット食道癌に対するESDの妥当性について検討したので報告する。(成績)(症例1)76歳 女性。近医での上部消化管内視鏡検査で食道胃接合部に隆起性病変を指摘された。生検で高分化型腺癌と診断され、精査治療目的で当院を紹介された。精査の結果、粘膜下浸潤を示唆する所見はみられなかったためESDを施行した。病理結果は粘膜内癌で水平、垂直断端は陰性、脈管侵襲も陰性であった。(症例2)45歳 男性。タール便の精査目的で近医を受診。食道胃接合部に隆起性病変を指摘され、生検で分化型腺癌を診断された。PET-CTでは転移は指摘されなかった。病理学的評価目的でESDにて一括切除を行った。病理結果はバレット腺癌であった。局所完全切除で脈管侵襲陰性だが粘膜下層への浸潤(800μm)がみられた。追加切除も検討したが本人の希望により経過観察することとなった。自験例においてはいずれもESDによる一括切除によって詳細な病理学的検索が可能であった。(結論)バレット食道癌においてESDは詳細な病理学的評価を行う上で有用であると考えられた。
索引用語 バレット, ESD