セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-01:

MRI 拡散強調画像を用いた肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法の有用性

演者 小森園 康二(社団法人鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科)
共同演者 柴藤 俊彦(社団法人鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科), 迫 勝巳(社団法人鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科), 谷 淳至(社団法人鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科), 加治屋 より子(社団法人鹿児島共済会 南風病院 肝臓内科)
抄録 【目的】診断群分類(DPC)に基づく診療報酬包括支払い制度の導入は肝画像診断領域においても費用効率と精度の高い診断方法への転換が予想されている。今回我々は、肝細胞癌(HCC)に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)の評価を非造影検査であるMRI 拡散強調画像で実施しその有用性を検討した。【方法】TACEを施行されたHCC患者22名を対象とした。単純CT検査及びMRI拡散強調画像検査をTACE後4-6日目に実施した。患者背景は平均年齢72(53-86)歳、性別は男性11例、女性11例。Child-Pugh A,14例、Child-Pugh B,6例、Child-Pugh C,2例。StageII,8例、StageIII,8例、StageIVA,6例。主結節の平均腫瘍径は2.9cm (1.2-5.0cm)であった。主結節の単純CT検査におけるリピオドール集積の程度を75%以上(良好群)、75%未満(不良群)に分類した。Philips社製MRI診断装置Achieva 1.5Tを用いMRI拡散強調画像のSE型EPI:b値800s/mm2でのおおよそのADC値を主結節ごとに測定し2群間で比較した。また、両群間での信号パターンを検討した。【成績】リピオドール集積良好群は14/22(64%)、不良群は8/22(36%)であった。良好群の平均ADC値1.37X10-3mm2/s(1.14-1.79)は不良群の平均ADC値1.19X10-3mm2/s(1.02-1.33)に比しADC値が有意に高値であった(p = 0.02)。集積良好群は結節周囲にリング状高信号を認めたが8/14(57%)、集積不良群において集積不良部分は拡散強調画像において高信号を呈した7/8(88%)。T1強調画像in phase 及びout of phaseで1例のみが脂肪化を伴った高分化型HCCと考えられ、拡散強調画像でのリピオドールの影響は少ないと考えられた。【結論】MRI拡散強調画像のADCの測定は肝細胞癌に対する肝動脈塞栓療法の効果判定に有用であることが示唆された。
索引用語 TACE, MRI