セッション情報 一般演題

タイトル 171:

内視鏡的粘膜切除術を施行した多発直腸カルチノイドの1例

演者 宇野 博之(福岡市医師会 成人病センター 消化器科)
共同演者 古川 敬一(福岡市医師会 成人病センター 消化器科), 山口 真三志(福岡市医師会 成人病センター 消化器科), 槙 信一朗(福岡市医師会 成人病センター 消化器科)
抄録 症例は49歳,男性.2003年9月左側腹部痛あり,近医より精査目的にて紹介.下部消化管内視鏡検査にて直腸Rbに5mmの隆起性病変を認め,生検にてカルチノイド腫瘍と診断された.既往歴に糖尿病,高血圧,中大脳動脈閉塞症にて加療中.家族歴,生活歴に特記事項なし.(経過) 2004年6月に再検し,直腸に多発する黄色調の隆起病変が散見され,直腸多発病変と思われた.同部より生検しカルチノイド腫瘍と診断された.回腸末端は観察した範囲では病変は認めなかった.注腸X線検査でも直腸に数個透亮像として認めた.検査成績では尿中5-HIAA 5.6と軽度高値であった.上部消化管内視鏡検査では異常なし.腹部超音波検査,腹部CT検査では肝腫瘍,リンパ節腫大等の転移を疑わせる所見はなかった.同年7月5日にRaの3mm,Rbの5mmの2病変を内視鏡的粘膜切除術(EMR)施行した.病理結果はいずれもカルチノイド腫瘍であった.2005年9月27日に下部消化管内視鏡検査にて再検し,Rbに3mmの黄色調の隆起病変を認め,同日EMRを施行した.病理結果は前回同様にカルチノイド腫瘍であった.現在も年1回の内視鏡検査にて経過観察している.(考察)直腸カルチノイドが多発する頻度は、欧米では2から10%,本邦では1.4%と報告されている.多発直腸カルチノイドの症例は,中牟田ら(2002)の報告では20例の報告があるのみで,本症例は直腸カルチノイドをEMRにて3病変切除しえた症例であり,比較的稀と思われ、文献的考察を加え報告する.
索引用語 カルチノイド, 直腸