セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-門脈圧亢進症

タイトル 消P-718:

部分的脾動脈塞栓術の血球増加および肝予備能改善効果

演者 石川 剛(山口大・消化器病態内科学)
共同演者 前田 雅喜(山口大・消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大・消化器病態内科学)
抄録 【目的】部分的脾動脈塞栓術(PSE)の血小板増加効果はすでに証明されているが、本研究ではその予測因子と付随効果ならびに長期経過について検討する。【方法】2007年9月~2010年12月に当科で施行し1ヶ月以上経過観察し得たPSE27症例(平均年齢;64.9歳、男/女=15/12、HBV/HCV/アルコール=2/24/1、Child-Pugh分類A/B/C=12/14/1、平均Child-Pugh score;6.6点)を対象とし、血液生化学検査・超音波検査・CT検査・エラストグラフィなどにより各種解析を行った。【成績】平均脾梗塞率・脾梗塞容積は83.8%・395.6cm3で、PSE1ヶ月後に血小板数は6.6→14.4x1010/L(平均増加率;2.3倍)に有意に増加した。白血球数も3306→5112x106/L(平均増加率;1.7倍)に有意に増加し、分画においては単球のみが有意な変化(7.6→8.9%)を示した。PSEにおける血小板増加(前値の2.0倍以上)に影響する因子を検討した結果、単変量解析では術前脾容積・脾梗塞容積・術前γGTP値・術前BTR値・術前TG値が、また多変量解析においては術前γGTP値のみ(オッズ比1.05[1.01-1.12], p=0.0359)が有意に影響する因子として抽出された。PSEによる肝静脈楔入圧・門脈-大循環圧較差の低下に伴って総ビリルビン値(1.4→1.1mg/dl)・プロトロンビン%(73.4→77.2%)・Child-Pugh score(6.6→6.3点)は有意に改善し、さらに肝線維化指数であるFIB-4(8.5→4.3)・APRI(2.8→1.0)の有意な低下が認められた。また2年以上経過観察し得た9症例を対象とした解析において、血小板数・白血球数・総ビリルビン値・血清アルブミン値・プロトロンビン%・Child-Pugh scoreの有意な改善が長期間持続することが証明された。【結論】PSEによる血小板増加は術前・術直後に予測可能であり、またPSEがもたらす血球増加・肝予備能改善効果は2年以上維持されることが示唆された。
索引用語 門脈圧亢進症, 部分的脾動脈塞栓症